「肩に来て 人なつかしや 赤とんぼ」と夏目漱石は句にしています。秋を探して名鉄瀬戸線「尼ヶ坂駅」付近を散策してみました。
 先ず、尼ヶ坂駅の南側にある「尼ヶ坂公園」、その西側にある「蔵王山 延命閣 地蔵院(北区大杉}」を訪ねてみました。地蔵院では、六地蔵さまが、首をかしげていたり、笑顔であったり、微笑んでいたりとそれぞれが可愛いい表情で整列され、その姿に思わず頬が緩み、しばらく眺めてしまいました。丁度お参りをしていた方から、「名鉄の高架線沿いに「尼ヶ坂地蔵堂」があるよ」と教えていただき訪ねてみました。小さな地蔵堂で「のぼり」がはためいていなければ、見過ごしてしまいそうです。御堂では穏やかなお顔の「地蔵菩薩様」が迎えてくれました。時には足を止めてみては如何でしょう。

 この辺り、かつては蔵王の杜と言われた片山神社(芳野一)の西に「尼ヶ坂」、東に「坊ヶ坂」があります。江戸時代、村娘と高位の青年武士の悲話があり、それが地名の由来と伝えられています。尼ヶ坂は樹木が生い茂る中を這うように続く薄暗い道で、名古屋台地へ向かう「尼ヶ坂近道」とも呼ばれたそうです。辻斬りも多く、通行人が数多く被害に遭遇したため、その非業の最期を遂げた霊を弔うため、久国寺(北区)のご住職様が寺の門前の六地蔵のうち一体をここに移して祀ったのが始まりということです。
 本堂内には三体のお地蔵さんと、ちょこんと座ったお地蔵さんがいらっしゃいました。お地蔵さんは、子どもの「守り神」として信じられ、赤いよだれ掛けや頭巾をかぶっています。赤は「清く」「正しく」「正直な色」と信じられ、魔除けの効果があることから赤いものを着せるのだそうです。還暦で赤を身につけるのも、干支が一巡し赤子に還るという意味で送られるのだとか。一つ一つに深い意味があるのですね。

 次に訪ねた「尼ヶ坂地蔵堂」、御堂の中には「地蔵菩薩様」の他に、観音さんやお地蔵さんが綺麗に並べられ、“どうしてかな?”と思い、管理されている普光寺(北区大杉3)に立ち寄ってみました。地蔵堂について、お庫裏様のお話ですと「とても御利益があるようですよ」とのことで、そっとお地蔵さんを寄付される方もいるとか・・地蔵菩薩様はきっと親身になって、様々な悩みや願いを聞いて下さるのでしょうね。境内には、初めて見る「干支のお地蔵さん」が並んでおり、呼びかけているかのようでした。色々なお地蔵さんとの出会いが、幾つもの物語を知る機会になるかも知れませんよ。 (ひがし見聞録、当会資料、中日新聞・街道を行く参照、聞き取り)
★当会では、ご要望に合わせた依頼ガイドも行っております。ガイドからお進み下さい。
 

  憩いの場、尼ヶ坂公園 尼が坂(蔵王の杜の面影今も)
  坊ヶ坂(右→片山神社)      地蔵院
   本堂内(地蔵院)   表情豊かなお地蔵さん
 尼ヶ坂地蔵堂(地蔵菩薩)   普光寺(干支地蔵)