徳川園のこのごろ

「そよりとも せいで秋立つ 事かいの(鬼頭、おにつら)」と立秋を詠まれていますが、空を見上げると秋の空は(高く)なり、巻雲なども見られるようになり小さな秋があちこちに来ています。「行き合いの空、注1」を味わいながら散策してみました。

 今、園内は豪快な滝音、湖面に揺らめく波紋、緑の草木の間を流れるせせらぎ、水琴窟や鹿威しの透き通る水音の中、強い陽射しを浴びゆっくりと時を刻んでいます。樹々の間からは、澄み渡る青空と雲の織りなす光景が見え、鮮やかな水彩画を連想させます。今だから味わえる自然の芸術を楽しんで見ませんか。

 今年も終戦の8月15日を迎えました。戦後75年という節目の年ですが、貴重な伝承者が減っているとメディアは伝えています。今、新生活様式と呼ばれる形態に否応なく入らざるを得ない社会情勢でもありますが、継承すべき歴史と向き合うことも大切ではないかと思います。
 この日はお盆でもあるので、お盆にまつわる花を探してみました。

 いつもはひっそりと咲いてあまり目立たない「禊萩(みそはぎ)・溝萩・盆花」です。由来は諸説ありますが、お盆や祭事の‘みそぎ’に使われたことから「禊萩(みそぎはぎ)、また湿地や溝でそっと咲いているから「溝萩」と呼ばれるそうです。地域によってはお盆に欠かせない花だそうです。大事なお役目を担っているのですね。菖蒲田の脇で咲いていますよ。

 そして、龍仙湖では「はす」のピンクの花が湖面を引き立たせていますよ。蓮は‘奇跡の4日間“と言われるそうで、4日の儚い美しさに魅了されます。その都度カメラマンの被写体になっていますが、花の咲くのは早朝から遅くとも昼頃まで、その後はゆっくりしぼみます。そして4日目の昼頃(11時くらい)から散り始め3時頃には完全に散ってしまうそうです。初めて知りました。仏様は蓮華の台座に座って仏教とも縁のある花、また泥水から真っ直ぐ伸びその先に華麗な花を咲かせまですので、花言葉は「清らか・神聖」だそうです。

そしてもう一つ“ほおずき”です。お盆の頃に真っ赤な実を付けます。これはお盆とも関係していて、提灯に形が似ていることから“道しるべ”とされるのだそうです。昔からの伝承には一つ一つに大切な意味があることを確認でき、新たな発見や遭遇に驚嘆の連続でした。
 皆さんも時にはじっくり向き合ってみるのはいかがでしょうか。
注1:夏から秋へ移り変わる空

   楚々と咲く禊萩     瀧音は涼やかに
   清楚なたたずまい    木陰を照らして
   木漏れ日も一役   優しく包み込んで
  涼やかな音に癒されて    夏の名残・・・

 

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