徳川園のこのごろ「七夕伝説」

「落ちてきて 露になるげな 天の川(夏目漱石)」

 7月7日は七夕で、乞巧奠(きこうでん)ともいいます。1年間天の川を隔てて会うことのできなかった牽牛・織女の二つの星が7月7日の夜に願いが叶いようやく会うことができるという伝説に基づいています。
 徳川園では、毎年保育園の子どもたちの可愛い短冊や来館者の短冊を笹竹に飾っています。長引くコロナ禍の収束を願う短冊が目立っているようでした。
 里芋の葉にある露で墨をすって、梶の葉に書くと書道が上達するとの言い伝えがありましたが、今はそのような光景(風習)は見なくなりましたね。こんな時期に、昔を手繰り寄せながら園内を散策してみました。

 園内に入ると、五色の短冊で飾られた笹がパッと目に入り、明るい世界が広がります。この五色にも意味があって、中国から伝わった陰陽説に由来するのだそうです。鯉のぼりにも使われ「魔除け」とされています。

 七夕伝説の起こりは中国で、日本では奈良時代から朝廷の年中行事として行われていました。たなばたは「織女」の和語である「棚機津女(たなばたつめ)」を略したことばです。その後、武家に移り、江戸時代は五節供の一つとなり大切な行事となっていきます。民間行事になったのは江戸中期以降のようです。本来の意味は女性の願いである裁縫が上手になるようにと祈って行ったお祭りでした。里山には保育園児の短冊が風に揺れ、足を止め丁寧に笑顔で読む方の姿が印象的でした。喧騒やコロナ禍を忘れ、ほっこりできる空間に癒されました。

 園内のあちこちで、力強く梅雨空に咲く大輪のユリが目をひき、その周辺に芳香を漂わせて人々の足を引き留めています。ユリは種類も多くヤマユリ、オニユリ、スカシユリ、ヤブカンゾウなどが点在して、探しながらの散策も楽しいのではないでしょうか。意外な場所に姿を現し、その周辺にはベストポジションを探すカメラマンが多く見えました。「どんなアングルが良いですか?」とたずねながらシャッターを切ってみましたが…。いかがでしょうか。

 大曽根の瀧の豪快な水音、せせらぎの小径の優しい流れ、龍仙湖では湖面に咲き始めた色とりどりのスイレンと、風に揺れる六角柳とのコラボも今の見所ではないでしょうか。梅雨時の今、そぼふる雨との競演もなかなか乙なものですよ。時には、まったりの散策はいかがでしょうか。

  可愛い子供の願いは!!    叶うと良いね・・・
   ヤマユリは力強く   歩く姿はユリの花?!
   オニユリは豪快に   ハギも咲き始めました
 せせらぎと青葉のささやき    湖面を彩るスイレン

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