旧豊田佐助邸 館内ガイド

火曜日、木曜日、土曜日の 10:00~15:30 ボランティア会員が楽しくガイドをしています。 (月曜日が休日の場合次の火曜日は休館です)

  • 予約はいりません。受付でお尋ねください
  • ガイドは30~40分です。お時間の都合で変更できます
  • お隣の旧春田鉄次郎邸の参観をご希望される方はお申し出ください

館内の見どころ

旧豊田佐助邸は1923 年(大正12 年)に建築着手されましたが、この年発生した関東大震災を受け耐震対策を図る設計変更がされていたと考えられます。当時のまま残してある貴重な建造物で、見どころが一杯です!

<豊田佐助 明治15年(1882)~昭和37年(1962)
発明王豊田佐吉の15才年下の弟で、経営的手腕で兄佐吉を支えた。静岡県山口村(現在の湖西市)で、大工豊田伊吉の3男として出生。昭和6年兄の創設した豊田紡織の2代目社長となる。豊田自動織機監査役・豊田合成社長等を歴任。大正12年から昭和37年に亡くなるまで、東区主税町(旧豊田佐助邸)に住んだ。自宅の庭で、手作りのぶらんこでくつろぐ佐助は好々爺である。(右は晩年の写真).



<見どころ No.1> 「四隅の換気口」おめでたいことの象徴である鶴と亀がデザインされていて、よく見ると「と」「よ」「だ」の三文字が含まれたマークになっている。このマークは、館内展示の印半纏(はんてん)、引き出物の風呂敷他、この家の各所にみられます。

<見どころ No.2> シャンデリア本体は4つの花が咲いた形になっていて、吊り具も植物をデザインした繊細な作りになっている。葉のデザインは、拡大すると天井の装飾と同じように見えますね。シャンデリアを支える天井の装飾は、職人が漆喰をコテでもって作り上げたもので「メダリオン」と言います、アカンサスの細やかで豪華な模様が刻まれています。

<見どころ No.3> 1960 年代に一般家庭に普及したステレオです。レコードプレヤーやスピーカーなどの音響機器が一体化したものです。更に左右のスピーカーによるステレオの音楽が楽しめるものでした。又、FM・AM の両放送を受信できるものです。操作パネルのところには、カタカナの「トヨタ」ロゴと英文字の「TOYOTA」のブランド名が入っているのも珍しいデザインです。そしてシンボルマークが凄い!必見です。

<見どころ No.4> 佐助邸には、一階と二階とで、あわせて10の和室があります。部屋によって襖の絵柄が違うことには、すぐ気が付かれると思いますが、実は、襖の引手も部屋ごとに異なり、14種類の引手があります。かなり見つけにくいものもあります。絵柄を見ていただくと、唐草、蝶々、鶴、二葉葵、鳳凰など縁起のよいものばかり。手をかける部分の周囲の金具を座と呼びます

<見どころ No.5> 佐助邸には、全部で4か所のトイレがあります。各トイレには、衛生陶器と総称される小便器、和便器、2箇所の手洗器が設置されていました。最新式の便器や手洗器に入れ替えられたものもありますが、現在でも当時の衛生陶器のロゴ商標を確認できます。東洋陶器(現TOTO)のロゴは大正6年(1917)頃から使用されたものと大正10年頃から使用された二種類。名古屋製陶所やアサヒ衛陶株式会社のロゴも見ることができます。また、菊紋タイルや菱紋タイルも見どころの一つです。

<見どころ No.6> 和館2階の西南の部屋は付け書院造りで床の間に琵琶台のある立派な和室です。衣類の衣替えと同時に、毎年6月の声が聞こえ始める頃、佐助さんは蔵から夏障子(簾戸)を出して、障子と取り替えました。夏の強い日差しを遮り、風通しも良くなり、快適になった部屋で家族と過ごしたり、お客様を招いたりしたことでしょう。

<見どころ No.7> 懐かしいガス灯 大正の半ば、名古屋の電力事情は家庭に電球が1つか2つあれば良い方でした。当時の家庭用電気はよく停電し 屋敷にはガス灯が併設されていました。金属部分だけ残っていることが多いですがここでは 全形を見ることができます。ガラス製のランプシェードの絵柄はひまわりでしょうか?*東区では明治末から都市ガスを整備

<見どころ No.8> 平成25年の耐震改修工事で和館の各所に筋交(すじかい)が多く取り付けられていたことがわかりました。棟上げ式前に 関東大震災(大正12年9月)が起きたため、急遽 設計を変更したようです。当時の設計者や大工さんの臨機応変な対応に頭が下がります。

<見どころ No.9> 明り採りと風通しの為に、内側の連子を左右に動かす仕組みで、開閉機能を施された窓です。 伝来した当時の仏教寺院の「窓」はすべて四角い「連子窓(れんじまど)」と言われていますが、木造建築ならではの匠の技が施されています。 特に、此処の無双連子は波型になっており高い技術がいるようで、とてもおしゃれなデザインですね。 (波形無双連子を見ることができるところは、本来禅宗様のお寺の玄関や本堂との事です。)粋な佐助翁ならではだと思います。

<見どころ No.10> 襖絵師の好文が浮世絵師広重の「近江八景 瀬田の夕照」を題材にして画いたものと解釈しています。金箔、銀箔を粉末状にしたものを箔筒に入れ、散らして装飾しています。これを金彩 (きんだみ)襖と呼んでいます。琵琶湖から流れ出る瀬田川に架かる唐橋を真ん中にして、遠近感を出して周辺の名所と景色を画いた見事な作品と思います。左側襖の下には、「大正13年春香る良き日に楽々荘にて 好文作」と書いてあります。日付が書いてあるのは、この襖だけですが、佐助邸の金彩襖は全て好文の作品です。

<見どころ No.11> 佐助翁は大正13年(1924)から亡くなる昭和37年(1962)までこのお屋敷に住みました。和館1階の南東の部屋は佐助翁お気に入りの部屋で「掘りごたつ」があり、よくここでくつろいでいました。小箪笥の位置や鶴の絵のふすまは当時の写真(昭和35年頃)と同じです。佐助翁は孫たちが来るのを待っており、いつでもお茶とお菓子は用意していました。又、お酒の好きな佐助翁は酒の肴に「山本海苔」とマヨネーズを手の届く小箪笥にいつも入れておいた
そうです。

<見どころ No.12> 覆輪目地(ふくりんめじ)は目地部分が半円型に盛り上がっていることが特徴である。現在この目地を製作できる職人はいないと言われており、大変貴重な建築である。近年復元された東京駅も外壁は覆輪目地です。

まだまだ魅力ある案内ポイントが多くあります。ボランティアガイドがご案内しますので是非ご来館下さい。