「昼間が一番長い」と言われる夏至も過ぎ、いよいよ本格的な夏です。徳川園の花もショウブ、アジサイ、ハンゲショウ、ユリと盛夏に向け次々と主役が変わっています。
 今回は少し趣向を変えて徳川美術館、蓬左文庫の標札をじっくりと読みながら、周辺を歩いてみたいと思いました。
 徳川美術館は家康の遺品を中心に収蔵品も多く、蔵書も1万数千冊(国宝9件、重要文化財59件)と種類の多さ、質・保存の良さを誇っています。

 蓬左文庫は、尾張徳川家の蔵書を引き継いだ文庫で、家康の駿河御譲本、歴代藩主の収集した書物等約11万冊、古地図約2500点を(重要文化財7件、154点)を所蔵しています。(平成26年1月重要有形文化財に指定)

 美術館の標札は、奥ゆかしく南収蔵庫の脇にひっそりと佇んでいますので、意外と気づかずに通り過ぎてしまいそうです。立派な葵の御紋の付いた門扉の奥に古の立派な玄関を見ることができます。ここからは入れませんが、特別展示の時には展示会場側から「芦毛文字」の刻まれた優美な、そして威厳漂う徳川家を垣間見ることができます。塀は信長塀で、織部焼きの六葉葵(注1)が設置されています。見られたことはありますか?年間を通して順次、趣向を凝らした展示がされています。詳細はこちらからどうぞ。

 蓬左文庫は、黒門を入った右手にある落ち着いた雰囲気の建物ですが、ここも「何かな?」「入れるのですか?」と尋ねられることが多く、「大丈夫ですよ」の返事に安心して見学されています。エントランスホールは源氏物語の複製展示など、天井は「キングポストトラフ様式」の珍しい天井、2階には和装本の収蔵の様子を見ることもできます。是非立ち寄ってみてくださいね。

 通常は非公開ですが、山の茶屋、心空庵・余芳軒の茶室が静かに佇んでいます。周囲には矢穴石や刻印石など珍しい石もあります。“そうっと覗いて見てください”新しい発見があるかも知れません。その奥にはお食事処(予約可)もありますので、時には寄り道はいかがでしょうか。

※とっておき情報【徳川園】
 七夕も近付き、徳川園内各所で短冊が用意され「願い事」を書くことが出来ます。可愛い子供の七夕飾りもありますし、黒門口には珍しい「松本の七夕人形」が素敵な笑顔でお出迎えしてくれます。どうぞごゆっくりとご観覧ください。

注1:替紋といわれるもので、徳川美術館の塀や徳川園の外周の板塀の屋根瓦、茶室の塵穴に使用されています

   旧邸の玄関(館内から撮)    重厚な門扉に寄り添って
    葦毛文字「礼(れ)」     蓬左文庫の標札
  塀の屋根瓦(六葉葵)      蓬左天井
   景観を際立たせて    黒門口でお出迎え