「青空の 中に風吹く 薄暑かな (村瀬青々)
 薄暑(はくしょ)とは少し暑さを感じる頃、一年中で一番気候のいい季節であり、新緑が萌え、陽の光が急に強くなってくる頃です。肌をかすめていく風の心地よさを実感して、天狗伝説のある蔵王片山神社を訪ねてみました。

 片山神社は、かつては樹勢旺盛で蔵王の森と呼ばれ“蔵王さん”と親しまれていたそうです。伝説(昔話)によると江戸末期に天狗が住んでいたということで、これが今の神田明神のお囃子に繋がるという言い伝えです。そんな異空間を持つ境内の不思議を探ってみたく訪れました。境内を整備中の宮司さまからは貴重なお話も伺いました。

片山神社は、和銅2年(709)に創建されたといわれ、主神は蔵王大権現、右神は国狭槌尊(くにのさづちのみこと)、左神は継体天皇の第一子の安閑天皇を祀っているそうです。安閑天皇は母親が「尾張目小姫(おわりのめのこひめ)」ということで、ここに建てられたといわれています。(壬申の乱で尾張氏が助けたという縁もあるようです)

 境内は今も緑に覆われ、街中の喧騒をすっかり忘れさせてくれます。延喜式神名帳にも記載されている古社で「延喜式内社」です。

 鳥居をくぐると、珍しい竹(厄除け)で吊された手水舎がカランコロンと澄んだ音で出迎えてくれました。本殿へ向かうと右手側の柵に「観音大神」の表示がありました。キョロキョロと探していますと「これは刻印されたものではなく石の表面が観音様に見えるのです」と宮司さまが親切に教えて下さいました。そこには榊が供えてありました。

 左手にまわると天狗さんの腰掛けが本殿横に祀られていました。しかし、残念ながら間もなく伐採されるとのこと。“ええーっ!!”と思わず叫んでしまいましたが、お話しを伺うと杉の木が枯れてから100年余を経過し、中が朽ちてきているための処置で、今後結果を見て保存方法を検討する予定と伺い安心しました。今でも天狗さんのお囃子が聞こえてきそうな、蔵王の森の空間は大変貴重だと思いますが、皆さまはいかが思われるでしょうか。

 その左隣には境内社が並んでいます。その前にある明治に建立された垂れ耳の狛犬とロウソク立てがしっかりお守りしていました。(伊藤萬蔵氏寄贈)

 気になっていた神門(東側の道路沿い)は、その昔、参道にあったものを移築したのだそうです。参道から続く広大な神社がふっと頭をよぎりました。(東区の歴史、県神社名鑑、東区の昔話と伝説を訪ねて、ひがし見聞録他)
注:片山神社については下記からもご覧いただけます。

http://higashibgv.com/活動の様子/4132
http://higashibgv.com/町の話題/6417

 厳かな雰囲気を漂わせて  万緑の森(奥は拝殿)
   竹の音色が爽やかに    天狗さんの腰掛け
   境内社がずら〜り 萬蔵寄贈の狛犬とロウソク立て
 観音大神に見えるかな?!   じっと見守って・・