「処暑の花 空ももいろに して溢れ(長谷川かな女)」
処暑も過ぎ、厳しい暑さの峠を越え新涼はもう直ぐでしょうか。体温を超す最高気温が〇〇日続くと報じられていて、地球沸騰化と言われるように、この星全体の高温化が進んでいます。この季節は台風も頻繁にやってくる時期でもあり自然との共生の難しさを実感します。
今回は新涼を求めて「名古屋総鎮守 若宮八幡社(栄3)」の“風鈴まつり”を訪ねてみました。
名古屋の中心部にあるとは思えない緑豊かな立派な神社です。清新な境内に入ると、風鈴が涼やかな音色を響かせ目と耳に心地良い環境がありました。穏やかな和みの空間に至福の時を感じながら日本文化の真髄を見た思いです。
御由緒によると、文武天皇の時代に那古野庄今市場に創建されたと伝わり、延喜年間(901〜923)に再興されたといわれています。天文元年(1532)に織田信秀が那古野城を攻めた時の合戦で社殿を焼失したが、天文8年にその信秀により再建された。その後秀吉より社領200石を寄進されています。慶長15年(1610)家康が名古屋築城に際し現在地に遷座し、名古屋の総鎮守とした。江戸時代は尾張徳川家の氏神となり、崇敬され営繕は明治維新まで藩主によって行われました。目の前の若宮大通りの名前の由来にもなっています。
御祭神は仁徳天皇、応神天皇、武内宿禰。鳥居をくぐると、風鈴の音が道案内をしてくれました。今年の干支の若宮龍神社は通路には風鈴が飾られ、ゆっくり観賞しながら進むと龍神社です。そこには木彫りの龍(辰)が出迎えてくれました。夜間は照明が施され一段と幻想的だそうです。
手水にも綺麗に彩られた風鈴が涼風を運んでいました。ここにも大きな龍が堂々と横たわって一瞬目を奪われます。本殿へ向かうとここにも大きな木彫りの干支が置かれていました。これはチェーンソー世界チャンピオンの方のアートだそうです。おかげ犬(注2)や今にも動き出しそうな干支の寅、兎、辰に圧倒されましたが、じっくり芸術鑑賞もできました。連理稲荷神社をはじめ開運招福巡りも楽しみました。
名古屋三大祭(注1)として知られる若宮祭は5月開催のようですが、これらの祭りは形を変えつつ現在に受け継がれている。1676年に作られた「福禄寿車」は、名古屋有形文化財にもなっていて、からくり人形の実演は見どころの一つだそうです。境内の木々は全てが御神木だそうで大切に守られていることがよくわかりました。深山幽谷の世界をも少し覗いてきました。(風鈴まつりは8月31日まで)
注1:東照宮祭、三之丸天皇祭、若宮祭
注2:江戸時代、おかげ参りが日本中に流行した頃、飼い犬が旅費を首につけ主人の代わりに伊勢神宮を参拝したと言われているのが「おかげ犬」
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