文化のみち界隈 Ⅱ 旧春田鉄次郎邸

   前回に引き続き、陶磁器貿易商として名を馳せた旧春田鉄次郎邸(主税町)をご紹介したいと思います。
 設計者は日本を代表する建築家である武田五一(注1)で、都市景観重要建造物でもある邸宅です。建築にも非常に興味を持ち、多くのビルや店舗を建造してきた鉄次郎と五一の見事な合作で、二人の思いの詰まった見事な建物として残されています。

 門をくぐると大崩しのアプローチを進み、春日燈籠を挟んで左は洋館玄関、右奥は和館玄関へと続いています。
 洋館はイタリア産大理石のマントルピースや洒落た照明、扉の取っ手など随所に贅を尽くした工夫が凝らされています。ただ、現在はレストランとして活用されているため、残念ながら見学は出来ません。
 家族が使用されていた和館は一般に公開され、ご要望に応じて当会でご案内をしています。

 和館玄関は、一階和室に続き、大正、昭和へとタイムスリップできる空間が広がっています。当時の生活が偲ばれる水屋やちゃぶ台、テレビ、足踏みミシンなどがそのまま展示されています。二階廊下には珍しい落とし鍵が付いており、ご案内する度に、多くの方から「初めて見ましたー!」との歓声があがります。
 洋間には珍しい意匠の施された天井、大きな古時計などがあり、ずっと歴史を刻み続けているかのようです。室内には武田五一のパネルが展示されていますので、彼の足跡をゆっくり辿ってみるのも面白いと思います。
 二階和室は朽木の欄間、カエデの一枚板で作られた琵琶床などがあり、落ち着いた雰囲気の中に古の良き時代が混在し、その変遷を考えるのも楽しいひとときになると思います。残念ながら、二階にも貸し室などもあって全てを見学することは叶いませんが、当時の面影を現在に留める貴重な遺産です、是非お楽しみ下さい。(ひがし見聞録、当会資料参照)

  春日灯籠を堺に・・・  和館玄関(こけら葺き)
  居間、大正の息づかい     水屋とオルガン
     書院欄間      落とし鍵
 大理石のマントルピース   テラスから洋館・・

注1: 明治から昭和にかけて活躍した建築家。
   現、名古屋工業大学の学長も務めた。

 

東区文化のみち ガイドボランティアの会

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