「はなびらの 垂れて静かや 花菖蒲 (高浜虚子)」と詠われるように今、菖蒲田は紫、白、絞りなど色とりどりの大きな花が艶麗に咲いています。梅雨の合間の青空とも似合いますが、雨に濡れた風情は流石に旬の花です。

 そして、龍仙湖では生まれたばかりのマガモの赤ちゃんが人気絶頂です。来園者の目を引きつけ、いつのまにか人だかりが出来、スマホによる撮影会が始まっています。母ガモがピッタリと寄り添う微笑ましい姿に、いつの間にか笑顔の輪も広がります。うっとうしい梅雨の時期ですが、楽しみながら散策してみるのも良いのではないでしょうか。

 園内は文字通り万緑、森林浴を味わいつつ、心豊かに散策できると思われます。来園された方からは、「落ち着きますね」「何かホッとするわ」「癒されるなあ」と心底からの声が聞かれ、湿度の高さも忘れて何故かホッとする一瞬です。小鳥のさえずりも時々届き、素敵な時間が流れていきます。

 今回は、尾張は三河湾に面していることから作庭されたという龍仙湖周辺をゆっくり散策してみましょう。
 龍仙湖対岸では、菖蒲の花々が吾ここにありと存在感を示して咲き誇り、人々の目を引き付けています。龍仙湖に架かる西湖堤、これは直線と曲線がもたらす独特の異国情緒(中国杭州の景色を模したもの)を醸し出し、堤防沿いにはロッカクヤナギがそよぎ、これを強調しています。
 龍仙湖には島が四つあります。三河湾の篠島、日間賀島、佐久島を連想させ、橋で繋がっており、四つ目の島は鶴亀島(縁起物)で、池中に浮かんでいます。西湖堤を臨む景色を愛でる島渡り、大名庭園の特徴である石組みの豪快さもお楽しみください。五枚岩という大きな石も探してみてください。

 湖面に目を移すと、赤・白・ピンクと鮮やかに咲く睡蓮の花の間を鯉が悠然と泳いでいます。湖上の母ガモは、安全を確認しながら子ガモにピッタリと寄り添い、子ガモの自由奔放?な遊泳にも根気よくしっかり目配りをしているようでした。私たちも無事な巣立ちをそっと見守りましょう。

  艶やかに美しく・・  井筒にそっと寄り添って
 危ないよ!戻っておいで     仲良く・・・
 橋(結界)を渡る先は?     幽玄の世界へ
 スイレンの葉陰で憩う鯉 梅雨とお似合いの・・アジサイ