徳川園のこのごろ

 「はたはたと 幟の影の 打つ如し (中村汀女)

 5月5日は端午の節句で子供の日です。二十四節気では立夏を迎え、例年なら「暦の上では夏・・」と注釈をつけるところですが、今年はそこかしこに夏の気配を感じ始めています。早くも夏日を耳にすることもあり、今年の暑さを慮ってしまいます。

 二十四節気が誕生したのは古代中国と言われています。日本には飛鳥時代に暦と共に伝わり幾度かの改良を重ねてきたようです。今年は朝夕の寒暖の差も大きく、草花も戸惑いながらも咲く時期を見極めているようでしたね。例年と比較すると大変遅れて見つけたり、“あっ!やっと咲いたね”とほっとしたり、花巡りもハラハラ・ドキドキしながら楽しむことができたように思います。

 現在は、新緑の美しい季節になり、年間を通して最も気候の良い若葉の美しい時季となりました。

 徳川園では、季節の行事を大切にしていますので、子供の日に合わせて龍仙湖畔では鯉のぼりが掲揚されています。青空に悠然と泳ぐ鯉のぼりは一際目を引き、カメラマンや大勢の人々が取り囲み薫風に泳ぐ姿に歓声を挙げています。

 また、冠木門には「軒菖蒲」が飾られました。これは菖蒲と蓬を家の軒先に飾るものです。香りの強い菖蒲や蓬を軒先に飾ることで邪気を祓う力があるとされ5月4日の夜に軒に飾り、5月5日を迎え不浄を払うという、平安時代から見られる風習です。後世に残したい風習ですが、家屋やライフスタイルなどの変化で、軒菖蒲などは残念ながら殆ど見られなくなってきました。徳川園での継承は貴重な行事で大切にしていきたいですね。

 龍仙湖では、睡蓮が花数を増やし湖面が華やかさを増してきましたし、龍仙湖では鴨が子育てをしていますので、優しく静かに見守ってくださいね。湖畔では六角柳が薫風に揺れながら人々を道案内しています。

虎の尾から大曽根の滝への小径は、せせらぎと新緑が深山幽玄の世界へと導いてくれ、癒しと和みの空間を実感できます。時にはゆったり、まったり散策してみてはいかがでしょうか。

 当会では、毎週金曜日の10:00~15:30まで随時ガイドを行なっております。お気軽にお声掛けくださいね。

薫風に泳いで
貴重な伝承(軒菖蒲)
カキツバタ
サワフタギとタニウツギ競演
薔薇のよう・・
青葉のもみじ(花をつけて)
蓬左文庫前では・・
そっと見守ってね

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