徳川園のこのごろ

「扇にて 尺をとりたる 牡丹かな 一茶)」

 園内は眩いばかりの新緑と、咲きはじめたボタンで華やかさを増してきました。
現在は「徳川園牡丹祭(4/21まで)」も開催中で、日毎に増える開花数に、大勢の方々が楽しみに来園しています。牡丹の魅力は、なんといっても「百花の王」と讃えられてきた東洋の名花で、個性豊かにあでやかな姿を見せてくれることではないでしょうか。
 カメラを片手にベストポジションを探したり、家族や友人同士でポーズを決めて写真に収まったり、丁寧に一つひとつをじっくりゆったり観賞する方と楽しみ方は様々です。

 牡丹は初夏に、その年に伸びた枝先に大輪の花を一個咲かせます。
「立てば芍薬(シャクヤク)、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」と、美人を形容する例えの一つとして詠われますね。牡丹は木本性(樹木)で芍薬は草木性(草)です。ボタンと芍薬は立ち姿と座った姿に例えられますが、理由を紐解いてみましょう。牡丹は「木」ですので幹から新芽を出し、花を咲かせることから座った姿に見える落葉低木です。芍薬は「草」ですので、地面からスッと伸びた茎の先に花が咲くことから、立ち姿に見える多年草です。見分けかたは葉の形・蕾の形・香りなどあるようですので、見比べてみるのも面白いかもしれませんね。また、藤との競演も見頃です。

 ボタンを堪能した後は、園内の「幽玄の世界」への散策はいかがでしょうか。もみじの青葉が目に優しくそっと誘ってくれます。目を凝らしてみると“もみじ”の可愛い花も咲いています。先日のガイドの折には「え~知らなかった」と行く先々で愛でておりましたよ。ゆっくりまったり散策すると、思いがけない花々との出会いもあります。里山の和みの空間、大曽根の瀧に耳を澄ましてみてください。豪快それとも清廉・・あなたにはどんな音に聞こえますか。

 龍仙湖へと続くせせらぎの小道は、新芽を吹き出した草花がゆっくり道案内をしてくれますよ。さらさらと流れる水音をB、G、Mにしての散策はいかがでしょう。赤四手(アカシデ)、白山木、射干(シャガ)、深山樒(ミヤマシキミ)、富貴草、姫空木(ヒメウツギ)などなど、紫陽花も芽吹いてきました。新緑と柔らかな陽光の元、萌芽の競演も多くの趣を作り出しています。「ずっと、ここに居たいです!」と歩を止める方もおられます。そんな時は大きく深呼吸をしてみてはいかがでしょうか。マイナスイオンを満喫でき、心身のリフレッシュも叶うかもしれませんよ。

 長いトンネル(現在はコロナ禍)から抜けるとそこは・・・このような小説がありましたね。懐かしい記憶と共に優雅な時をお過ごしください。

 当会では毎週金曜日(10:00~15:30)、定時ガイドを行っております(随時)。
お気軽にお声掛けくださいね。

藤との競演
気品溢れる百花の王
紅葉の可愛い花
白山吹は楚々と
ハナズオウ
白万作は青空向かって
茶室を優しく彩って
水音に耳をすませば・・

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