「チューリップ 喜びだけを 持っている(細見綾子)」
日本の春といえば・・まず桜が思い浮かぶと思いますが、今回は花壇や庭先で風に吹かれ咲く、色とりどりの可愛い春の花“チューリップ”に焦点を当ててみたいと思います。
町並み保存地区にある「文化のみち百花百草」の庭園を訪ねてみました。春を代表する花の一つとして愛されているチューリップを中心に、その庭は優しく穏やかに広がっています。シンプルですが花も葉も美しく、子どもから大人まで人気のある花ではないでしょうか。色や形も様々で見る目を楽しませてくれますね。日本には江戸後期に伝来したといわれ、本格的に栽培されたのは大正時代からだそうです。現在は世界で5000品種以上が登録されているそうです。
文化のみち百花百草は、「復古大和絵派の祖」と呼ばれる「田中訥言」の最高傑作「重要文化財・百花百草図屏風(徳川美術館所蔵、岡谷家寄贈)」にちなんで名付けられました。年間を通して四季折々の花々が、その名前の通り100種描かれているともいわれています。数えた方もいる様ですが幾つ確認できたでしょうか。実際に見ると(徳川美術館で公開される)江戸時代の四季を垣間見ることのできる素晴らしい筆致で圧巻ですよ。何回見ても見入ってしまいます。(公開を楽しみにしてください)
岡谷家は名古屋の豪商で、寛文9年(1669)名古屋城下に打刃物商「笹谷」を創業したのが始まりで、現在の(株)岡谷鋼機の創業家にあたります。10代惣助(1887~1965)氏は「文化財を私蔵せず保存と公開すべき」との遺志により、徳川美術館に寄贈されました。
この建物は大正9年の建物で、平成19年に書院、茶室、土蔵を改修し、ホールを新築し四季折々の花の咲く寛ぎの空間として蘇りました。ホールはイベントなどにも利用されますが、お茶をいただきながらゆっくり庭園を観賞することもできます。土蔵では百花百草図(レプリカ)も展示されていますので、静かに楽しむことも可能です。
確かに日本に桜は似合い、報道でもお花見を楽しみに来日されている方々も多くいる様ですね。名古屋も満開ちかしの声が連日聞かれますが、時には喧騒から離れ静かな庭園散策を楽しんでみませんか。
コメント