今日は、あの東日本大震災から3回目の3月11日。それぞれの人が、それぞれの感慨を抱きながらも強い絆で、お互いを思いやり助け合いながらの姿を辿る各種の報道には心打たれました。また一方では、貴重な体験、文化遺産を次世代に残していくための地道な努力が続けられていることに感銘しました
今回は前回に引き続き、佐助邸の「石灯籠、注1」にスポットを当ててみたいと思います。庭内には三つの灯籠があり、付近の草木の引き立て役となったり、時に景観のワンポイントとなって、この庭を一層引き立たせています。特に、1階2階の縁側からの眺めは、独特の雰囲気を醸し出し、存在感があります。
庭の奥には、全長10メートルほどの流れ石組みで造られた細長い池があり、(現在は枯流れ)中ほどに石橋のあとがあります。石橋の袂石上に雪見灯籠(注2)が優しく邸内を見つめていますし、西側には、火袋に「濡」「鷺」と陽刻された珍しい濡鷺灯籠があり、見学される方々に微笑みかけているようです。東側に目を転じると、しなやかなにうねった赤松の側で、春日灯籠(注3)が佇んでいます。現在は紅白梅が咲く傍で草木が、新芽を蕾を膨らませ、来たるべき日に備えています。
梅と雪見灯籠 | 池の護岸石組み(景石を配置) |
濡鷺灯籠 | 春日灯籠(鹿と雲・・) |
注1:②石灯籠の用途は明かり取りであるが、庭園内では見付として、つまり注意を喚起するために据えることが多い。
注2:「雪見」の語源は「浮見」が変化した語。竿と中台がないため高さが低い。特徴は、主に水面を照らすために用いられていたので、笠の部分が大きい
注3:灯籠といえば春日型を指すほど灯籠の基本となるもの。火袋は六面、前後に火口があり、鹿・雲・・などがあるので見つけやすい。バランスの取れた形の良いものである
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