徳川園内は、水仙、椿、梅、マンサク、ウンナンオウバイ・・・と開花し、冬から春へ衣装替えが急速に進んでいます。弥生に入り、これからは一層拍車をかけていくことでしょう。今回は、これらの華麗な樹木の側にあって、注目を浴びることの少ない「石灯籠、注1」巡りをしてみたいと思います。
先ず龍門橋を渡ると、「柚の木灯籠」があり、湖面と周囲の花や石と見事に調和しています。ここに立つと、園内へと目が向きがちなため、気づかない方が多いようですが、この灯籠は平安末期の貴重なものです。そこから里山へと歩を進めると、大きなスダジイの脇には「春日灯籠」が寄り添い、矢来垣に添って進むとここにも春日灯籠が存在、四睡庵、水琴窟の側には「東照宮型灯籠、注2」が椿に抱かれて佇んでいます。龍仙湖畔に歩を進めれば、織部灯籠(キリシタン灯籠)が湖面を静かに見つめていますし、湖畔の西側からは「奥の院灯籠、注3」が園内を見守っているかのようです。
どれも園内の樹木や花々と見事に同化しているので、気づかずに通り過ぎてしまわれがちですが、歴史をずっと見続けてきた、由緒ある遺産がそこにあるのです。その他、有楽灯籠(以前紹介)なども、控えめながら佇んでいます。そんな庭園巡りも乙なものではないでしょうか。
柚の木灯籠 | キリシタン灯籠 |
春日灯籠 | 東照宮型灯籠 |
スダジイに寄り添って | 自分の干支を見つけてね |
注1:園内には平安時代から江戸時代のものまでの石灯籠があります。
注2:これは性高院石灯籠の系統に属するもので、なごや城築城の残石といわれています。
注3:この灯籠の中台格狭間には十二支が陽刻されています。今、横でコブクザクラ(子福桜)がきれいに咲いていますが、十二支との繋がりを考慮しての作庭でしょうか?
コメント