晩春「ツツジ」の建中寺と「標石」

 「つつじ咲て 石移したる うれしさよ(与謝蕪村)」春も5月4日の立夏までと残り少なくなりました。
 建中寺の境内は目の覚めるようなつつじが、由緒ある建物を背景に映え、そこは別世界が広がっていました。つつじの横では刻印石(藩、確認中)も、存在感を示していました。何故ここにあるのかは不明だそうです(ご住職様談)が、探してみるのも楽しいのではないでしょうか。

 前回から伊藤萬蔵の寄進物を探していますが、建中寺では三門前右にありました。梵字キリークで書かれたもので、明治42年10月と刻まれていました。ここも今は赤いつつじに包まれて華やかな雰囲気を醸し出しています。

【つつじ】
 つつじは種類も多く野生のものだけでも20数種類、園芸種は数百種にのぼるともいわれています。庭園や路地、庭先でも晩春から初夏にかけて開花し、真紅のものは‘つつじ燃ゆ’といわれるくらい目が覚めるように美しく咲き誇ります。つつじで有名な那須高原や箱根、赤城山など数多くありますし郷土の花としている長崎県の「雲仙つつじ」や鹿児島県の「霧島つつじ」はよく知られています。

 建中寺の墓石を活用したという標石や鐘楼にもそっと寄り添っています。観世音菩薩(水子供養)や地蔵菩薩も色とりどりの花々に囲まれて微笑んでいるようです。本堂西側のつつじは満開で見頃を迎え、カメラマンが大勢見えました。「ベストポジションは何処?」等の会話が、適度な距離を保ちながら飛び交っていました。御成門や建中寺公園も今が見頃で、華やかな一画を優雅に彩っています。ぜひ静寂の境内を規律を守りつつ、いつもと違う寺院探索はいかがでしょうか。(俳句歳時記、花図鑑、あれこれ№5・6)

【伊藤萬蔵】
 建中寺の標石の正面には梵字で「阿弥陀如来四八願諸第一番札所 建中寺」とあり、左面には「名古屋市西區塩町伊藤萬蔵」、右面には建立年月日が刻印されています。今まではさらりと通りすぎていましたが、じっくり見てみると味わい深いものだと感じました。丁寧に観察する大切さを再認識しました。これらは財政基盤が確立され、自身の信仰から神社仏閣への寄進が始まったと考えられています。狛犬から始まり共同寄進、その後単独での寄進を途切れること無く続けることになった。今後も引き続き東区にある萬蔵の寄進物を追ってみたいと思います。
(伊藤萬蔵、東海の異才・奇人列伝・・他)

 本堂に寄り添って(西側)     鐘楼とつつじ
梵字の標石(伊藤萬蔵寄贈)   観世音菩薩とお地蔵様
  御成門は新緑の中で     静寂のたたずまい 
 東橦木公園にはレンゲの花    鯉のぼり(幼稚園横)

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