「文化のみち百花百草」 初夏の花

 「あじさいや 帷子(かたびら)時の 薄浅黄(松尾芭蕉)」

 梅雨に入り空も低く重苦しい感じですが、晴れ間を利用して「文化のみち百花百草」を訪ねてみました。

 梅雨の晴れ間ということもあって、門を入ると右手に緑に輝く苔の北庭(前庭)が目に飛び込んできました。監修、設計は野村勘治氏だとのことです。苔庭の中央には紫陽花をあしらった“花手水”があり優しく出迎えてくれました。日本庭園の雰囲気を醸し出し、ほっとする静寂の世界が広がります。苔庭の中には、名古屋近郊の篠島石や佐久島石などの庭石が絶妙に配置されていると教えていただきました。また飛び石を進むと沓脱石が設えられています。部屋に上がることはできませんが外から見ることはできました。いつもと違う清心な苔庭と対峙することができました。これも梅雨のもたらした貴重なひと時のように思いました。

 百花百草の名前の謂れは、重要文化財 田中訥言筆の「百花百草図屏風(徳川美術館に寄贈)」に書かれている草花を庭園に植栽し、楽しんでいただけるようにとの思いから名付けられているのだと“百花百草のいわれ”(土蔵内)に書かれていました。卓上には90余種に及ぶ屏風図の名前が記されておりますので、ゆっくりご覧いただくのも一興かと思います。そして庭園での初夏の花々と向き合ってみるのはいかがでしょうか。私も四季折々に尋ねておりますが、屏風絵を彷彿させると共に安らぎと癒しの世界へと誘ってくれます。(重文の百花百草図屏風は徳川美術館で公開されます。チラシやHP等でご確認ください)

フラワーガーデン(花壇)では、雨の似合う紫陽花や彩を一層加え演出を惜しまない初夏の草花が、明るい日差しと爽やかな風に同調して咲き誇っています。真っ白なカシワバアジサイやアナベル、花壇では工夫を凝らした幾何学模様に花々がマッチして魅力を発揮しています。一度植え替えに遭遇したことがありますが、陰の気遣いが隅々まで行き届いたガーデンですね。

 梅雨の晴れ間を謳歌するかのように、小鳥は水浴びに興じ、蝶やトンボは花々を飛び交い、長閑な空間に迷い込んだようでした。ホールでゆったりお茶をいただきながらの庭園鑑賞は梅雨の鬱陶しさを吹き飛ばすエネルギーになるのではないかと思います。至福のひと時になりますね。

 この建物は大正9年に建てられた建物で、平成19年に書院、茶室、土蔵を改修し多目的ホールを新築して開館しました。

 この辺りは町並み保存地区(白壁・主税・橦木町)に指定され、貴重な歴史的な町並みや建造物が多く残る貴重な地域です。また名古屋城から徳川園までの地域は「文化のみち」と呼ばれています。毎年11月3日には「歩こう文化のみち」としてイベントを開催しています。本年も実施しますよ。ぜひ予定に入れておいてくださいね。

*百花百草開館日は「水~土」10:00~16:00 ホールで一休みの町並み散策はいかがでしょうか

*当会では、皆様のご要望に合わせた依頼ガイドも行っております。申し込みはHPからどうぞ

百花百草の初夏
優しい花手水
初夏を彩る花々に魅せられて
薫風に揺らぎながら
楚々と咲く半夏生も
水との調和は美しく
花満開
トンボは一休み

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