ひとりある記 5 白山神社

 各地で「観測史上最大量の積雪」の情報も時々伝えられています。名古屋でも数日前には一面の銀世界となり、道端の寒椿や公園の木立も雪をキャンパスに見事な文様を描き出していました。
 今回は、いつもは横目で見ているだけの白山神社(矢田2)ですが、拝殿の欄干に十二支の彫刻を施した板がはめ込まれていると聞き、訪ねてみました。
 はやる気持ちを抑えて、手順を踏みながら真摯な気持ちで拝殿へ参りました。そこに有りました! 本殿中央には見事な彫刻が早速周回してみました。「えっ?数が足りない」と疑問に感じ、おもむろに拝殿の中を見ると重厚な干支の彫刻があり、納得しました。後で宮司さまから「皆さん外だけ見て、足りないとよく言われますよ」と教えていただき少しほっとしました。何時もはお参りするだけですが、ゆっくり味わって見るのも良いものですね。今年の干支の彫刻はどこに嵌められているか、探してみてくださいね。

 社伝によれば、漸東寺(矢田4)境内にあった白山社を神明社の現境内に移して合祀したと言われるがいつの頃かは、はっきりしないようです。
 鳥居をくぐり・・手水舎を見ると、浄水の文字は「元名古屋市長 杉戸清 書」とあり、昭和48年と書かれていました。ここにも近代の足跡があり、ちょっと不思議な感覚になりました。落ち着いた神社の境内には、保存樹のアキニレやケヤキの大木がそびえ、荘厳さを一層深めていました。献木には明治100年記念の文字が明記されており、後世に年代を正確に伝えたいとの配慮が見られました。また樹木の盛衰に備え、次世代にこの境内の雰囲気を残すことの必要性を思い、心配りに感心しました。さわさわと騒ぐ葉音が、心地よい癒しと和みを与えてくれました。

 境内には神楽殿もあり、ここにも趣のある面が彫刻されていました。ここは昭和59年に改修されているようです。お面も見事に彫られており、何か意味はあるのか尋ねてみましたが、特別な意味はないとのお答えでした。見る人がそれぞれに空想を膨らませ、それに委ねるのも楽しいかも知れませんね。
 時には、ゆっくり歴史を紐解いてみてはいかがでしょう。(ひがし見聞録、当会資料参照)

  神秘さを醸し出して  干支の彫刻がお出迎え
   神楽殿に相応しく    心身を清めて・・・
   幻想の世界へ・・    威厳のある献木
   屋根には獅子も・・     漸東寺の鬼瓦

 

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