「菩提樹や 天よりたるる 花の性(榊原薗人)」この句の如く、徳源寺のボダイジュは今満開で、甘い芳香に誘われて境内に引き込まれてしまいました。散房状の集散花序は下を向いて垂れ下がり、小さな黄色の花を数多くつけ、静寂の境内を優しい香りで包み込んでいます。通りすがりの人々も覗き込みながら境内へと誘われ、独特な空間を作り出していました。いずれ実り、固い実は数珠に使用されるとのことです。鮮やかで香しい花を、梅雨前の今、ゆっくりと味わってみてはいかがでしょうか。

 この木は東区の名木にも指定されていて、樹高は7メートルもある大木で、境内の中門脇に聳えています。本堂や中門との見事な調和は、見惚れてしまいますよ、きっと!

 菩提樹は、お釈迦さまがその下で「悟りを開いた」という由来で知られ、多くの寺院の庭園などに植えられています。(実際に「悟りを開いた」のは桑科の熱帯樹の「インドボダイジュ」だとか・・)なぜ間違われたのかは、諸説ありますが、禅宗を広めた栄西が中国の天台山に行き、葉の形が似ていることから日本に持ち帰ったものが、各地の寺院に広まったようです。

 もう一つ間違われやすい樹木に、「沙羅の木」があります。お釈迦さまが亡くなられたのは「沙羅双樹」の下ですが、ある僧侶が、夏椿を「沙羅双樹」と思い込みこれが広まったため、別名で「沙羅の木」と呼ばれるようになったのだそうです。初夏の頃に咲き椿に似ていることから夏椿と呼ばれ、可愛い白い清楚な花が印象的です。

 徳源寺は、文禄元年(1592)織田信雄により建立され、現在地には延享元年(1744)に移りました。戦後の都市計画により境内は狭くなり現在は5200坪。本堂、禅堂(非公開)、開山堂(内部非公開)、仏殿、修古館が建ち臨済宗の専門道場として多くの高僧を輩出し、現在も全国より修行僧が厳しい修行を続けています。

 いつも綺麗に掃き清められ、心穏やかな修行僧の方々が問いかけにも、真摯にお答えくださいます。当寺は、春の桐(今は結実している)、初夏の菩提樹、秋の紅葉等々、四季折々に楽しませてくれます。
 特に仏殿はいつも開放されていて、銅製の涅槃像(5m超)を安置し、後部に五百羅が祀られています。何度見てもその姿に圧倒され、思わず釘付けにされてしまいす。是非穏やかなお釈迦さまに逢いにお出かけください。
(徳源寺案内、徳源寺HP、東区の名木、ひがし見聞録、植物図鑑など 参照)

    満開の菩提樹  菩提樹の蕾と葉(5月末撮)
  サワサワと風に揺れて  中門と菩提樹(右手大木)
   桐の実がたわわに    町で見かけた夏椿
   涅槃像と五百羅漢  境内では可愛い石仏が・・