初夏の風物詩である東区天王祭は毎年6月の第一の土、日に開催、今年は7・8日に実施されました。天候にも恵まれ子供達の元気の良い掛け声や、お囃子の音が町内に響き渡り活気に溢れていました。お囃子の稽古は町内によっては、1か月位前から練習していると聞きました。このように町内で祭りの全ては執り行われており、江戸時代から続いてきた行事を今に継承しています。
天王祭とは、人々が疫病から逃れるために「津島神社の祭神牛頭(ごず)天王」をお祀りする神事です。天王祭の間、町内を曳行する山車はご祝儀をいただく家々で、無病息災を祈り、人形からくり、人形囃子、力持ちなどを披露します。
東区の山車は5輌ありますが、ルーツを辿ると名古屋三大祭(東照宮祭、若宮祭、三之丸天王祭)で江戸時代に「からくり山車」が盛大に曳かれるようになったことがあげられます。特に祭りが好きであった10代藩主の斉朝(なりとも)公の頃に最盛期を迎え、東海地方の祭礼に大きな影響を与えたようです。
現在東照宮祭の祭礼車が唯一残る「筒井町の湯取車」、若宮祭礼車の「河水車」、三之丸天王祭の見舞車の「神皇車」など江戸時代を彷彿とさせる山車を見ることができます。貴重な山車を譲り受け継承されているのですね。
今回は見せ場である「曲げ場」・「力持ち」に密着してみました。
「曲げ場」とは、曲がり角で方向転換をしますが、楫方(かじかた)と呼ばれる人たちが、約二千貫あるという山車を方向転換させます。一糸乱れぬ勇壮な姿と気合に醍醐味を感じますし、圧倒されます。これにも町内の方々の「がんばれ~~」の掛け声は絶大な威力を発揮していますね。素晴らしいチームワークです。(※1貫は3.75キログラム)
「力持ち」、これも楫方の見せ場です。独りで楫棒を担ぎ上げて山車の車輪を浮き上がらせます。“やんや、やんや”の喝采にかなりの時間を持ち上げている強者もいました。「うぉ~!!」の歓声と大きな拍手に祭りは最高潮に達します。ワクワク、ドキドキの連続でした。
最大のイベントは徳川園の山車揃えでしょう。徳川美術館前に5輌が巧みな技で整列する姿は、絢爛豪華な佇まいで興奮します。1輌ずつが広場で「からくり」を披露、山車を1回転または2回転の方向転換を披露すると「おお~・・・」と歓声が上がり人と山車が一体となり独特の雰囲気が醸し出され最高潮に達しました。栃木県から来た方は「凄いですね、来て良かった、来年も来るよ」と興奮冷めやらぬ雰囲気でしたし、隣にいた若い女性は「血が騒ぐの」とそっと囁き、毎年参加しているそうです。多くの人々に支えられている伝統行事だと実感しました。








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