過去に行われた二葉館の遺跡調査の結果から、旧二葉館(東二葉町)の当時の様子は垣間見ることが出来ましたが、時の流れの中、この地は瀟洒なマンションに変わり、昔の面影は殆ど残していませんでした。そんな折り、突然嬉しいニュースが飛び込んできました。新聞(5月26日付)やテレビ(5月25日)などで報道されましたが、文化のみち二葉館1階大広間に展示されている、杉浦非水(注1)の「初夏」と命名されているステンドグラスの復元部分が発見されたというニュースです。外部へ流失(注2)されていた一部(復元部分)を偶然に市内の古美術商が数十年前に買い取り、たまたま出入りしていた市の職員がこれに気づき市に連絡・・という、偶然が重なって発見に繋がったようです。「80年ほどの歳月を経て、元の場所に戻るということは本当に幸せなことです」とは、ステンドグラスの専門家である田辺千代氏のお話です。
鑑定は、田辺氏と二葉館のステンドグラスの復元に携わった松本一郎氏(注3)の二人が1年をかけて、古写真との比較した結果、部分的にはトチノキの幹部分の模様(米ココモ社製のガラス材料)、シャクナゲの花びらや葉の枚数、デザインも一致、また透明部分、青色系部分、赤色系の型が一致したことから本物と断定したということです。展示方法は今後検討されるようですが、貞奴さんの愛したステンドグラス、この発見により華やかさと荘厳さを一層増していくものと思われます。
二葉館の歴史(遺跡調査報告)についてはこちらからご覧いただけます
当会では毎週「火・木・土」の午前10時45分からと、午後1時20分から定時ガイドを行っております。
右が発見されたステンドグラス | シャクナゲの花びら・葉の数が一致 |
ガイドの様子 | 発見に至までの経緯を・・ |
注1:福沢桃介の義弟で、現多摩美術大学初代学長。商業美術家、初期商業デザイン界に指導的役割を果たした。日本モダンデザインの先駆者でもあり、三越、カルピスなど多くのデザインを手掛けている
注2:川上家から土地建物が売却された後、改築の時に外され外部に流失したようです
注3:松本ステンドグラス製作所 社長・・・
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