去る6月4,5日に東区、筒井町・出来町天王祭が執り行われました。残念なことに、4日の夜間曳行と5日午前の徳川園の山車揃えは雨のため中止となりました。特に山車揃えには、遠方から来園された方も多く「もう直ぐ雨はやむよ」「楽しみに来たのに」と空を見上げ嘆いておられました。気象庁も梅雨入り宣言を発表、如何にしても自然には逆らえませんね。
5日、午後からは山車もそれぞれの町内を曳行され、お稽古に励んだと思われる整然としたお囃子の音が、近隣に響き渡り、一段と盛り上げていました。
この祭りでは出来町の3台の山車、特に鹿子神車(西の切)に密着してみました。もとより、このお祭りは、疫病を鎮めようとする天王信仰で、それぞれの町内を巡回し、無病息災を祈ったものです。場所を選んで人形からくり、人形囃子、場所によっては力持ちなどを披露して巡っていきます。力持ちとは、一人で山車を持ち上げるものですが、その雄姿は豪快さと共に技を継承する必死さも伝わってきました。
動く文化財とも言われるようで、楫方、腰回りの見せ場「曲げ場」、「力持ち」など男の見せ場では大きな「頑張れ!頑張れ!」「出来る、出来る!」の声援が飛び交い、成功する毎に「うぉー」の歓声と拍手がわき上がりました。そこに町内の一体感が見られ、その瞬間はちょっと感動的でした。夜になると、灯入れをした提灯が映え、その曳行は幻想的な光景でもあり、初夏の風物詩として欠かせないものになっています。
出会い、答礼、千秋楽のご挨拶など古式豊かな伝統文化が今も脈々と続いていることを実感しました。ある古老の、「昔、本通りは1本南でね、我が家は現在の出来町通りの真ん中にあったんだよ」と懐かしそうにお話ししてくださった姿が、伝統の大切さを説いておられるように感じました。
江戸時代から続く貴重な文化遺産です、大切に次世代へ引き継いでいって欲しいと思いました。
山車関係者の皆様、濃やかなご配慮、ご協力ありがとうございました。
曳行 | 方向転換の妙技 | 楫方見せ場(力持ち) | お囃子 |
2台の山車すれ違い | 出会い | からくり(奉納) | 答礼(中の切) |
水引幕(天保12年作) | 灯入れ(西の切) | 灯入れ(古出来) | 夜間曳行 |
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