地蔵盆・徳源寺

  「この刻を 待ち一斉に 蝉鳴き出づ(山口誓子)」

 梅雨明け宣言と共に大暑となり、夏本番へと突入しました。同時にどこに眠っていたのでしょうか蝉しぐれの大合唱です。そして連日熱中症への注意喚起が報道されています。

 去る7月24日(月)に4年ぶりに徳源寺で地蔵盆が行われました。午後4時からの法要後、本堂においてゲームやお相撲さん(九重部屋)との腕相撲、落書き広場など多岐にわたるお楽しみが用意され、お子さんたちの元気な声が響き渡り、活気あふれる場がそこにはありました。やはり明るい笑顔は最高ですね。お子さんたちも久しぶりに充実した1日となったことでしょう。

 地蔵盆は地蔵菩薩の縁日で、子どもたちの健やかな成長を願う行事です。子供の守り佛として古くから信仰されていました。地域のお世話役の方と雲水さんが一緒になって地蔵祭が行われていますが、このお寺は折からの名古屋場所での九重部屋の宿舎にもなっており、お相撲さんも一役買っておりました。ちゃんこ?も振舞われたようですよ、どんな味付けなんでしょうかね。

 お地蔵様は、新しい赤い(魔除け)前掛けが着せられ、お供物が供えられておりました。地蔵尊と子供が描いた提灯が周囲を飾り境内は厳粛な雰囲気が漂っていました。法要は粛々と営まれ大勢の人々が静かに手を合わせていました。地蔵盆の主役は子供たちで、お地蔵さんにお参りした後にはお菓子が配られます、これも地蔵盆の楽しみの一つかもしれませんね。

 その後は本堂でのお楽しみが待っていました。本堂に用意された様々な遊びに興じていました。特にお相撲さん(九重部屋)との腕相撲は人気で、色々工夫して挑戦する子ども達への“頑張れー!”の声援が響いていました。またクイズには、「わかる人?」を合図に「はい、はい、はい、」の声に合わせて一斉に手があがり、ユニークな答えに感心したり、笑いが起こったりと元気の良い声が飛び交っておりました。笑顔渦巻く本堂内は、夏休みに入った子供たちの最大のイベントになったのではないでしょうか。

 徳源寺は臨済宗妙心寺派の寺院であり、禅の教えを大切にしているお寺です。今日は雲水さんも裏方に徹し、熱中症対策の冷茶の用意や遊びの手配、子供たちの遊び相手を務めておりました。時には太鼓の実演?などもあり、いつの間にか人だかりができていました。昔懐かしい情景が広がって、ずっとこの状況が続くことを祈りたくなるような、幸せをしみじみ感じた1日でした。

 徳源寺は桐の花でも有名ですが、今まで何気なく見ていた桐の木が、卵形の実をびっしりつけておりました。これは?と調べてみると、大暑を過ぎましたが七十二候をみると、桐始結花(きりはじめてはなをむすぶ)とあります。自然の営みの素晴らしさを知り、丁寧に観察してみることの大切さを痛感しました。

 今年も暑い夏だとの予報も出ています。暑さ対策を万全に行いつつ、時にはじっくり自然と向き合ってみてはいかがでしょうか。

地蔵菩薩への供物
地蔵盆の準備も整い
未来の画家?!
クイズは大盛況
懐かしいおもちゃの数々
桐の実もたわわに
華やかさの演出?幟も一役
九重部屋の朝稽古

 

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