5月5日はこどもの日でした。最近は見かけなくなった鯉のぼりが、住宅の一角で勢いよく青空を泳いでいました。懐かしい原風景を想像しながら・・珍しい「奇想の輸出陶磁器 隅田焼の世界(5/12まで)」を見に行きました。
隅田焼きという名前を初めて聞き、興味をそそられ急遽出かけました。会場に入ると驚嘆すると同時に引き込まれてしまいました。説明文によると「奇想」とは「常識では考えつかないような、奇抜な着想を指す語」である・・と書かれ、正統派の本流から外れて異端視されていたそうです。納得しましたが、反面興味津々で釘付けにされてしまいました。明治以降輸出された美術工芸品でも奇想墨田焼が欧米で人気を博したそうです。
この墨田焼は、愛知県瀬戸で生まれた井上良齊が1875年に島田惣兵衛の協力で、隅田川近くの浅草橋場町で製陶を始め、明治時代に二代良齊が瀬戸伝統の登り窯を築きました。陶磁器に造形物を貼り付ける高浮彫の技法で装飾され、上部に釉薬をかけ流したものです。今までの日本の陶磁器にはなかった自由奔放さが表現され、江戸の文化を漂わせています。独特の作風が魅力で盛んに欧米に輸出されたようです。初代、二代良齊を慕って故郷の瀬戸からやってきた人々が窯で学んでいたそうです。
展示では江戸の文化や情緒を感じさせる町人風の人物や子ども、仏像や僧侶、エキゾチックな動物の猿、象、龍、虎など多岐にわたるモチーフが、立体的に造形され器面に貼り付けられています。浅草に近いため相撲に関わる作品も見られ親近感も感じられました。東洋に主眼は置かれているようでも、多くが欧米に輸出されていました。会場には約260の作品が展示され圧倒されながらも感激し、いつしか吸い込まれてしまいました。
また、幕末から明治時代前期に作陶されたという「染付上絵金彩花鳥図大花瓶」も驚嘆した一つです。この作品は明治時代の万国博覧会に、出品されたか輸出されたものと考えられていると説明書にはありました。
創設者である横山氏の初めてのコレクション(オールドノリタケ)の作品も展示されていました。ほっと和むひとときを感じることもできました。堪能できる蜜の濃い時間でした。
連休で心身も解放され爽やかな青空と春風に抱かれながら、いつもとは違う“何か”を受け取ったような気がしています。久しぶりに休日を満喫できリフレッシュも叶いました。ぜひ皆様もワクワク・・ドキドキを体感してみてくださいね。
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