東区の山車祭「筒井町、出来町天王祭」

 初夏の風物詩「東区の山車まつり」は、毎年6月の第1の土・日(6月1・2日)に開催されます。

 東区には現在5輌の山車があります。筒井町には「神皇車(じんこうしゃ)、湯取車(ゆとりぐるま)」の2輌、出来町には「鹿子神車(かしかじんじゃ)、河水車(かすいしゃ)、王義之車(おうぎしゃ)の3輌が各町内を曳航されます。いずれの山車も長い間地域の人々に大切に保存され継承されてきた貴重な山車です。

 今年は少し趣向を変えて各車輌の大幕や水引幕に焦点を合わせてみました。車輌毎に趣向が凝らされ目を見張るものばかりです。丁寧にじっくり観察してみると新たな驚きや感慨、そして時々の世代背景が垣間見え、思わず山車の周りをグルグル回ってしまいました。

 神皇車の水引幕は白地、大幕は青地です。水引幕には、十二支の豪華な刺繍がされています。下絵は江戸時代後期の名古屋土佐派の画家「森高雅始め、山本梅逸、渡辺清等の高名な画家により描かれ、江戸後期の工芸技術の粋を集めた貴重なものとのことです。ひと針ひと針に匠の技の凄さを実感しました。

 湯取車の水引幕は昼と夜で異なるそうですが、昼は森高雅の下絵といわれる雲龍の刺繍をあしらった水引幕に、猩猩緋(しょうじょうひ)、紺、緑の3色縦継ぎの大幕を用いています。宵には、渡辺清の下絵といわれる麒麟、鳳凰、亀の水引幕に猩猩緋単色の大幕を使用するとのことです。

 西之切「鹿子神車(かしかじんじゃ)」の水引幕は白羅紗に孔雀の金刺繍で、天保12年の制作、その下絵は森高雅の筆と伝えられています。宵の幕は、白羅紗に雲龍の金刺繍が施されています。

 中之切「河水車」の大幕は、猩々緋の無地幕に中之切の町名を金糸で刺繍、水引幕は石橋車(戦災で焼失)に使われていた水引幕を平成2年に復元した白羅紗に唐獅子と牡丹の金糸銀糸の刺繍が施されています。

 東之切「王義之車」の水引幕は、「麒麟、鳳凰、亀、龍、虎」の刺繍がされています。宵の替幕は黒地に注連縄を使用するそうです。

 今年は天候不順で、2日(日)の徳川園の山車揃え・山車祭は中止となりましたが、前夜祭と初日(6/1)には活気ある豪快な方向転換や華やかなからくりの醍醐味を大いに楽しませてくれました。町内の和やかな絆がとても印象的でした。(尾張の山車祭参照)

湯取車(大幕と水引幕)
神皇車(十二支)
鹿子神車(西之切 方向転換)
河水車(中之切)
王義之車(東之切 からくり)
出来町通りを曳航 水引幕には亀が…
筒井町前夜祭(神皇車、湯取車)
山車揃え(昨年の様子)

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