文化のみちを歩こうⅢ 「文化のみち橦木館」

「烈日の 美しかりし 桔梗かな (中村汀女)」。新涼に揺れるエノコログサ(猫じゃらし)に誘われて橦木館を訪ねました。
 ここは輸出陶磁器商であった井元為三郎が、大正末期から昭和初期にかけて建てた、和洋併置型の落ち着いた邸宅で、素焼きのスペイン瓦の屋根がシンボルとなっています。この瓦・・なんと6000枚もあるそうです。
 情緒漂う落ち着いた和風建築と、ガラス・ステンドグラスの競演する洋風建築が見事に調和し、市指定文化財となっています。大正時代の遺産が脈々と引き継がれる貴重な建造物です。細やかに気配りされた建造物をじっくりご覧になってください。
 当会では「火、木」の14:10から定時ガイドを行なっております。お気軽にお声掛けください。

 井元為三郎は、名古屋における陶磁器輸出業の先駆者として、業界をリードし名古屋近代陶磁器産業の発展に貢献しました。処世術は「一歩はやく、一歩ひろく、一歩ふかく」であり、あくまでも一歩であり、二歩、三歩でないところに人柄が滲み出ているように思います。
 また為三郎の座右の銘は「幸福は我が心にあり」だそうで、洋館には「なるほど?!」と納得できる仕掛けがあるかも知れませんよ。ステンドグラスに込められた一つ一つの図柄を読み解きながらの観賞も素敵ではないでしょうか。

 和室へ目を向けると、当時の生活を思い出させてくれる台所が今も健在です。「えっ!ほんと?」「懐かしいわ」「初めて知りました」と様々な反応をなさるでしょうし、時代の変遷を垣間見ることが出来ると思います。
 部屋ごとに工夫された意匠には皆さんびっくりされますが、現在にまで続くよき時代の遺産を、末長く引き継いでいかれることを願うばかりです。
 和室に座ってゆっくりお庭の観賞される方もみえますが、寛ぐのには恰好の場所かも知れません。

 また、手入れの行き届いた庭園では四季折々を彩る草花や、庭石や何気なく置かれた置物もあり、庭隅にある懐かしい「二宮金次郎さん」との出会いも楽しんで見てください。そして京都より移築されたと言われる茶室(幕末期建築)「無松庵」が穏やかに佇んでいます。「今とむかし」を思い描き、散策の後はカフェで一服なんて・・風流ではないでしょうか。
イベントも定期的に開催されています。詳細はこちらからどうぞ

  洋館、ドームと屋根     落ち着いた和館
     階段意匠    当時の日常が・・・
 トランプのステンドグラス     愛くるしい小鳥
    庭に佇む茶室     懐かしい?!・・

 

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