文化のみちを歩こうⅳ 「名古屋陶磁器会館」

 今回は「芸術の秋」に因み、近代産業発祥の地といわれる東区で盛んになった陶磁器の世界へご案内します。
 時は明治・・輸出向けの上絵付けを行う事業が、鍋屋町界隈から始まり次第に立地条件に合った名古屋市の北東部(橦木町、主税町周辺)へと移行し、世界へ向け輸出されていきました。
 その足跡として、森村組(現ノリタケ)の跡地である主税町公園(主税2)には「名古屋輸出陶磁器産業ゆかりの地」の銘板が設置されており、陶磁器貿易商として栄えた、井元為三郎や春田鉄次郎の邸宅が文化遺産として時を刻んでいます。そして、輸出陶磁器の拠点が「名古屋陶磁器会館」で、かつての陶磁器産業の隆盛を物語る建物です。歴史の紐解きを楽しんでみませんか。

 東区が近代産業発祥の地といわれる理由は、明治以降、近代化が進む中で陶磁器を始め、マッチ、時計、硝子、織物等々の工場ができ、大きく発展したのが主因と思われます。「文化のみち」の一帯は江戸時代、「中・下級武士の屋敷」であり、その広い土地や家屋が利用出来たことも一因であったと思われます。

 陶磁器の絵付けは、瀬戸から取り寄せた白生地の製品に絵を付ける事業で、輸出を中心に大正、昭和期に飛躍的に発展しました。昭和初めには650以上の関連業者がいたと言われ、一大産業地であったことがうかがい知れます。そこは、今もなお地域に溶け込み絵付け長屋が静かに佇んでいます。そして「陶磁器絵具」の販売を続けている三田村商店も地域産業に根付き、絵付けを支えています。次世代へ着実に継承出来るといいなと思います。

 「名古屋陶磁器会館」は建築意匠も文化遺産として貴重ですが、絵付けの歩みを伝える作品が展示され、「えっ!」と思わず足を止めたり「そうなんだ」と納得したり、制作過程が分かりやすく伝えられている場所でもあります。もちろん、陶磁器産業の隆盛を誇る建造物でもあるのです。
 実際に体験できるコーナーも設置され、これを体感することで、関心を持ったり、親しみを覚える人も増すでしょう。一つ一つをゆっくり観賞、体感してください。
 初秋の風の下、ゆっくりと味わって見てはいかがでしょうか。
【予告】11月3日開催の「歩こう文化のみち」で「輸出陶磁器産業の面影を訪ねて」のガイドを実施します。
(コース行程、申し込み方法などの詳細が確定後、後便でお知らせします。是非予定に入れておいて下さいね)

  名古屋陶磁器会館  玄関のステンドグラス
 年代ごとの展示は圧巻   秋?・・色彩豊かに 
 絵付け伝統技法・・・   目を見張る作品
 転写体験(初めの一歩?!)   歴史を語る絵具店

 

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