徳川園のこのごろ

 「桃の枝や ひらき加はる けふのはな(日野草城)」

 3月3日は五節句の一つ「上巳の節句(じょうみのせっく)、桃の節句」です。この日に合わせたように徳川園の里山で花桃が見頃を迎えています。可愛いピンクの花が青空に映え優しく微笑んでいるようです。春の訪れを告げる花も次々と咲き始め徳川園も華やぎ始めました。

 里山では春告草の梅、白加賀も美しい白い花を開花させ春風に乗って甘い香りを運んでいます。紅梅(淋子梅)の蕾も大きく膨らみ、間も無く開花を迎えるでしょう。

 花桃がこの日を待ちかねたように咲き、里山を一層賑やかに演出しています。ゆったり散策すると様々な椿もそっと道案内してくれます。春陽を浴びながらまったり、ゆったり散策してみてはいかがでしょうか。澄み渡る空を見上げれば、サンシュユが背伸びして開花を待っていますし、ボケやミツマタも春を待ち兼ね、ほころびはじめていますよ。

 豪快な大曽根の滝の流れでは、水分け石の効果から流れの変化を楽しんでみます。せせらぎの小道へ進むとさらさらと流れる水音に、大きく深呼吸をして心身のリフレッシュはいかがでしょうか。春の風情を読み取ってください。
 龍仙湖では、マガモや、カルガモがゆったり湖面に流紋を作りながらくつろいでいます。つがいもいるようですのでヒナの誕生を期待しましょう。目の前が明るく広がりますね。鯉も悠々と泳ぎ、声や足音に敏感に反応して餌のおねだりをしています。春の音、春の風、春の匂いを心ゆくまで味わってみるのも楽しいのではないでしょうか。

 茶室への露路でも春は近づいてきました。「ミチシルベ、アオジク(紅白梅)」は満開で、花吹雪の舞は神秘的です。茶室前の御門樹は芽吹きから花へと移行しています。茶室にはお雛様も飾られ日本の伝統は着実に受け継がれています。徳川美術館では、恒例の「尾張徳川家の雛まつり(4/2まで)」が開催されています。

 茶室の北側ではミツマタも見頃、白加賀も満開を迎えています。豊後鶯宿(ぶんごおうしゅく)も蕾の先に淡いピンク色が顔を覗かせていますので、まもなく開花するでしょう。牡丹園の中(藤棚の前)ではオカメザクラが開花し始めました。桜の季節もそこまできています。春の到来もまもなくでしょう。

 黒門口(受付)では春を告げるネコヤナギが銀色に輝き花も咲かせています。蓬左文庫前の河津桜は満開です。ロータリーの薮椿も楚々と咲いています。時には新しい何かに出会えるかもしれませんので、道草を楽しんでみてはいかがでしょうか。

可愛いハナモモ
清楚な白加賀
淡侘助
まず咲くからマンサク!?
一際目立つボケの花
趣のあるミツマタ
ネコヤナギは銀色に輝いて
ヤブツバキは楚々と

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