「月明の ふとさびしさよ 木槿垣(むくげがき)(中村汀女)」
水の色や風の音、雲の動きなどにも秋らしい気配が少しずつ感じられるようになってきました。酷く暑かった夏に花々も戸惑い、時期に遅れまいと急ぎ咲き始めた花にそっと声援を送りたくもなりますね。
徳川園も通常ならば“秋”を知らせる花々が、まだ様子を伺っているようで、園庭の彩は少し寂しい感じです。その代わりに龍仙湖にはハスや睡蓮が新たに花をつけ目を惹きつけてくれます。また、子供たちから餌をもらうカモの親子と鯉の共演が見事にシンクロして、和みの空間を演出し歓声を上げていました。
水辺には藪茗荷が彩り緑陰とともに穏やかな空間を作りほっと一息つきながらの散策も乙なものですよ。
湖畔で百日紅が青空との背くらべを楽しんでいるかのような構図にしばらく見惚れてしまいました。白い雲が負けじと寄り添っている・・そんな一瞬を切りとってみるのも楽しいかもしれませんよ。
茶室から望む龍仙湖の水面や六角柳の青緑、緑地保全地域との眺めも一興ですよ。花色の少ない今ですが、思わぬ発見や出会いに心静かに散策を楽しんでみてはいかがでしょうか。
虎の尾をサラサラ流れる水音を楽しみながら、大曽根の滝へ向かう“せせらぎの小径”をゆっくり散策すると幽玄の世界へと誘ってくれます。次第に近づく大曽根の瀧の轟音に、暑さをいつ時忘れて水飛沫を楽しんでみるのも一興ではないでしょうか。
四睡庵は静かに人待ち顔で佇んでいます。園の心遣いで扇風機が設えられているので、爽やかな涼を求めて休憩を取られるのも良いかもしれませんね。
まだまだ暑さの残る日中は小鳥も木陰で一休みでしょうか、里山は意外な静けさでそこにありました。
“秋”を探しての散策でしたが、いつもと違う風景にワクワク・・ドキドキの嬉しい時間でした。こんな楽しみ方もあると新発見しました。皆さまも「あなた流」の日本庭園、小さな秋を見つけてみませんか。








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