「聖人の 生まれ代わりか 桐の花(夏目漱石)」
今年は桜や、藤、躑躅(つつじ)などが満開になるのが早く、すでに夏の気配をあちこちで感じます。温暖化の影響もあるのでしょうか、徳源寺の「桐」も早くも満開を迎えています。釣鐘型をした薄い紫色の上品な花を、枝先に咲かせ人々の目を惹きつけています
桐は奈良、平安時代にかけて中国から渡来したようですが、中国では伝説の鳥「鳳凰」が止まる木とされ、神聖な意味を持つ植物といわれています。皇室の紋章や武家の家紋、更には日常使っている500円硬貨のモチーフとしても使用されています。時にはじっくり観察してみるのもいいかもしれませんね。
清新な境内では写生をする人、写真を撮る人、爽やかな風に吹かれながら魅入る人と様々ですが、そこには和やかな空気が静かに広がっていました。大木ですので、バス「基幹2」からも立派な花を見ることはできますよ(山口町と新出来の間の南側)。
ここ徳源寺は臨済宗妙心寺派で、織田信雄が創建し、文久2年(1862)藩主徳川慶勝が修行道場を開設した寺院です。禅堂は、文久3年(1863)総見寺から移築したもので、鐘楼は明治3年(1870)総見寺、または政秀寺から移築され、仏殿は大正期の作ながら5メートルを超える涅槃像があります(ブロンズ製のため黒光りしている)。
目に青葉と詠われるように、境内の樹木は清々しい初夏を感じさせてくれます。
正門(東側)から入るとすぐ左に仏殿があり、正面の扉が大きく開いています。中を覗くと間近に大きな涅槃像が横たわっています。その大きさにちょっとびっくりしますが迫力満点ですよ。頭を北に顔を西に向け両足をきちんと重ねられています。基壇正面には二人の僧が左右から手を差し延べています。背後には五百羅漢の木像が並んでいますが、最初は薄暗いので分かり難いですが、目が慣れてくると次第にはっきり確認できます。時には心穏やかに対峙してみては如何でしょうか。
(秘められた名古屋、パンフ参照)
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