去る7月23日、建中寺において「建中寺御霊屋保存修理(注1)について」と題して建造物彩色復原の専門家、小野村勇人氏の公開講演会が開催されました。
御霊屋(注2) は藩祖義直公、百五十回忌を記念して寛政10年(1798)に建立された建物で、築後210年を経過した現在、彩色を中心として保存修理が行われています。その現況と彩色復原の様子、他寺との類似(類例調査(注3))、相違点など経験を交えて丁寧にお話いただきました。特に風雨にさらされる部分は、劣化が激しく剥落が進み慎重な作業を余儀なくされているとのことでした。逆に内部は綺麗な彩色がそのまま残っているとのことでした。数多くの経験に裏打ちされた匠の技、そこに近代的な器機を活用して効率化を図る労苦等々、大変興味深いお話をしていただきました。古の技術や建造物を継承、保存する難しさと大切さを再認識させられた場でもありました。この作業が終了する数年後には、建立当時の荘厳な姿を見ることが出来るでしょう。
まずは綿密な調査から | 建中寺、豊川稲荷の類似点が見られる |
注1:平成23年より4カ年計画で着手
注2:愛知県指定文化財。「御霊屋」は通常「おたまや」・「みたまや」というが、
建中寺では「ごれいや」といい、歴代藩主の位牌が安置されている。
注3:時代・様式・作者などについて類似する物件を調査し見取り図の参考にする。
★「明治初期、建中寺より拝殿・合いの間が、小牧市・豊川稲荷、南区・蒼龍寺に移築された」
(建中寺資料・当会資料参照)
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