「薄紅葉してしづかなる 大樹かな(高浜虚子)」
白露も過ぎ草木が季節の移ろいを教えてくれる時期ですが、今年は猛暑日が50日以上連続すると報じられ地点があるなど稀有な暑さを記録しています。暑さの影響もあってか、草花は戸惑い気味に夏と秋を同居しながら咲いています。夏から秋へ移ろうとする今の季節を、じっくり楽しむのも一興かもしれません・・・。
今回のガイドツアーは東区で紅葉の有名な寺院を訪ねました。まだまだ薄紅葉が始まったところでしたが、秋の風情を垣間見ることは出来ました。今年の紅葉は緩やかに進み、楽しむ期間は増えるかもしれませんね。ゆったり散策をお楽しみください。
秋のイベントも始まりますが、恒例の「歩こう文化のみち(11/3~24)」の頃にはきっと見頃を迎えてくれることでしょう。詳細は当会HP「行事予定」からもご覧いただけます
養念寺(泉3)は、真宗大谷派で本尊は阿弥陀如来(安阿弥作)です。慶長2年(1597)萱町に創建され、慶長9年(1604)に現在地に移転しました。尾張徳川家との縁は深く、開基である冨永久太郎の3人の弟が尾張藩の重臣に仕えるなどしました。また元禄年間には檀家である三浦家の娘が、三代藩主綱誠の側室となり七代藩主宗春の生母(宣揚院)となったため、宣揚院の什器や宗春ゆかりの品々が伝来されています。
ここは庭園を彩る紅葉が見事です。低地のため泥土が黒く見えることから「烏が池」と呼ばれ、江戸時代には文人、墨客が訪れ、池を愛でたといわれています。戦災で壊れた庭園は真宗の教えに基づく庭園として昭和56年に再建されました。
戦争遺産の鐘は空襲で穴が空いているため、名古屋市の戦争遺産に認定されています。11月3日(日祝)には「大人の文化祭」が開催され、マルシェ&コンサート、そして「烏が池庭園」も開放されます。詳細はチラシ、養念寺のHPをご覧ください。
禅隆寺は、臨済宗妙心寺派、京都の妙心寺の末寺で、本尊は釈迦如来像です。元和9年(1623)に徳川義直から寺地を拝領し創建されました。尾張徳川家八代、九代藩主の御生母の菩提所として知られています。本堂は戦災で焼失しましたが、観音堂と山門は創建当時のものです。本堂は昭和44年に再興され斬新な外観をしています(合掌の形)。
境内の枯山水の庭園(山水菩薩庭園)は禅宗と深い関わりを持って作庭されているそうです。仏教の心構えを庭に写し、それを本堂側から見ることを目的としていると教えていただきました。右側の極楽浄土には三尊石。中央の高い石が観音菩薩様を表しています。一つ一つを確認しながら、じっくり堪能してみてくださいね。
庭全体に、もみじが植樹され紅葉の美しい寺院として有名です。今年は異常気象の影響もあり、例年に比べるとゆっくり秋は訪れるかもしれませんね。庭園は常時開放されておりますが、神聖な庭園ですので心静かにお楽しみください。
当会では、皆様のご要望に合わせたガイドも行っております。HPからお申し込みください。
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