今回は主税町から41号線を越え西に進み、名古屋市が設定する「文化のみちの起点」ともなっている、名古屋市市政資料館(注1)の周辺を訪ねてみました。旧裁判所当時に植えられたという大きな「ヒマラヤスギ(注2)」が正門脇で出迎えてくれます。大正11年(1922)から中部地方の司法の中心として星霜を重ね、昭和54年に名古屋高等・地方裁判所が中区三の丸に移転したのに伴い、一旦役目を終えました。
ネオバロック様式で、華やかさと荘厳さを兼ね備えた大正期の貴重な文化遺産であることから、昭和59年(1984)国の重要文化財に指定され、永久保存されることになった建物です。正面中央のドーム屋根に塔屋を設けた3階建てで、赤・白の対比が美しい官庁建築です。塔屋には、天皇の名の下に裁判を行っていた名残として菊の紋章が付けられていましたが、戦後の国家体制により現在は外され、跡(注3)だけとなっています。中央下には神剣と神鏡のレリーフが付けられています。
中に入ると正面中央には公正を象徴するステンドグラス(天秤)が嵌められ、厳粛さが伝わってきます。一寸見逃しがちですが、階段両脇にある黒い柱は、上半分と下半分で温度差があります。何故でしょう?(注4)・・是非触れてみて下さい。
この館、最近は若者の人気スポットになって結婚式も執り行われるようになりました。手摺は天然大理石で造られており、よく見ると「シカマイア」や「ヤベイナ」、そして小さな可愛いアンモナイトの化石を幾つか見つけることができます。常設展示室には、市政、司法の貴重な資料、また名古屋の軌跡を辿る公文書などが置かれ、いつでも閲覧することができます。
市政資料館の1本道を隔てた向かいには、司法の中心であった頃を偲ばせる「司法長屋」「弁護士長屋」と呼ばれた建物が、戦災から免れ、昔の面影のまま残されています。
また、その東隣には近代的な建物「愛知県女性総合センター ウイルあいち」があります。現在は女性の自立と社会参加を推進する拠点ですが、この地、実は愛知県家庭裁判所跡に建てられているのです。時代の流れに沿いながら、変貌を遂げているのが実感できます。
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威風堂々と | 取り外された御紋 |
第1展示室(当時の名古屋控訴院) | 神剣と神鏡 |
明治のころの法廷 | アンモナイトの化石 |
司法長屋 | 資料館玄関前庭(少女の像) |
注1:資料館についてはこちらからどうぞ
注2:ヒマラヤスギ、ステンドグラスについてはこちらからもご覧いただけます
注3:3階展示室で当時の様子を見ることができます
注4:下半分は本物の大理石、上半分は漆喰塗りの上に大理石を似せて塗ったマーブル塗りだから
コメント
コメント一覧 (2件)
アンモナイトの化石はどのあたりですか?
コメントを有り難うございます。
小さいので分かりにくいかも知れませんが。中央階段を上がって右側、階段と平行の大理石の手摺の中ほどです。(柱の近くです)他にもありますからゆっくり探してみてくださいね。