前回の訪問先、貞祖院を後に、今も現存する枡形(注1)を通り、泉三丁目周辺にある寺社の春を巡ってみました。昔の生活を彷彿とさせる枡形は、現在ではむしろ種々抵抗感のある遺産かも知れませんが、当時の時代背景がしのばれ考えさせられました。
今回は、まず石の鐘(梵鐘)があるという、浄土真宗の圓明寺を訪ねてみました。八重の梅が今や盛りと優しく出迎えてくれました。山門には一刀彫り(お庫裏様のお話)の龍が見られ、境内には戦災の爆風により壊れた瓦の廃材があちこちに在り、気の引き締まる思いがしました。さらに進んで行くと、明治時代に建立されたという、鐘楼にある石の鐘が目をひきます。これは戦時中あらゆる金物が回収、供出されたため石で造られたものだそうですが、戦後70年の年月を経て昔を物語る、忘れてはならない貴重な証拠品ではないでしょうか。梵鐘の重さが気になって尋ねましたところ、屋根が風で吹き飛ばされないよう支える役割も担っているそうです。今年、8月15日には戦後70年の記念法要も計画されているそうです(見学は自由)。また、鐘楼の傍には俳人川島不究の碑が建てられ、「木槿(むくげ)いつか はなびらたたみ 月涼し」と詠まれています。昭和31年に門人の方により建立されたものだそうです。
その道路を挟んで「秋葉山一乗院」があります。堂前には地蔵尊が優しく静かに、通る人を見守っていました。圓明寺の西隣には、以前ご紹介した松山神社(注2)もあり、過去と現代を共有している、不思議な寺社巡りを楽しんでみられては如何でしょう。(圓明寺お庫裏様のお話、当会資料参照)
★当会ではみなさまのご要望に合わせた依頼ガイドを行っております。詳細は「ガイドについて」からお進みください。
【お知らせ】
「文化のみち二葉館」の定時ガイドの時間が4月から変更になります。(午前は10時45分から、午後は1時20分からの2回です)よろしくお願いします。
圓明寺山門 | 一刀彫りの龍(作者不詳) |
石の鐘 | 寺名の入った瓦 |
八重咲の梅 | 枡形 |
注1:敵が侵入してきたときの防衛策として、町の出入り口の道を直角に曲げて造った
注2:松山神社についてはこちらからどうぞ
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