ひらひら舞う桜の花びらに導かれ、いつもと違うコースを歩いてみました。路面はピンクの絨毯…優美なソメイヨシノ、濃艷な里桜、清雅な山桜と数百種類あると言われる桜ですが、薄緑色の御衣黄や鬱金が青空をキャンバスに、見事な絵画を描いているようです。
 今回は愛知県織工場跡(泉一)の標札巡りから出発します。ここは現存する名古屋市立の中では一番古い幼稚園です。ちょうど新学期も始まり、溢れんばかりな子供の声にパワーをもらい散策を開始しました。公園や道端で一斉に咲き乱れる花々にスポットを当てたいと思います。時には五感で、待ちわびた春を感じてみてください。

 愛知県織工場跡標札は、市立第一幼稚園の脇に建てられています。この地は明治維新によって職を失った尾張藩士族の救済のため、明治10年(1877)愛知県織工場が建てられた場所です。士族の婦女子に綿やフランネルなどの製織技術を伝習させるために作られた工場で、明治中期まで続きました。明治34年(1901)その工場跡地に名古屋幼稚園(明治25年に創設、同32年に市に寄付・南久屋町)の園舎が新設され、移転と同時に園名も改称され、更に大正2年には現在の園名に改称されています。戦火を逃れ明治期からの公立幼稚園の生きた歴史資料となっています。

 周辺の街路樹の若葉に癒されながら栄公園(東桜一丁目)に立ち寄りました。栄公園は東桜小学校の南にありますが、桜並木と競演して、普賢ザクラ、鬱金桜がキラキラ輝きながら咲いています。この桜は、愛知県第一高等女学校の跡地で、校庭にあった桜を「県一桜」として植えられたものだと書かれていました。周囲は喧騒な道路ですが、ここだけは長閑な景色と時間がゆったりと流れていました。

 国道41号線を北に進み、山吹谷公園へ寄り道をすると、「キクモモ」が艶やかなピンク色で咲き誇っていました。公園の片隅に旧市立第三高等女学校の校碑と爆撃の碑(防空壕に爆弾が直撃、42名の生徒が死亡)が新緑に抱かれてそっと佇んでいます。その後、学校改革により統合され、現在の旭丘高校になっています。春風に誘われて二葉館を訪れると、アセビや桃介がヨーロッパから持ち帰ったと言われる「三色桃」が、風に揺れながら話しかけてきますよ。見つけてみてくださいね。
 日本の美しい春を、心ゆくまで味わってみませんか。

   愛知県織工場跡  園児の声が明るく響いて・・
   県一桜の説明板  満開のウコン(鬱金)桜
  東桜小の桜は花吹雪   乙女椿の径にある碑
山吹谷公園のキクモモは見頃 二葉館では三色桃が楚々と・・