「秋深し 隣は何を する人ぞ」は有名な松尾芭蕉の句ですが、暦の上では冬、小春日和の下、グラデーションの見事な紅葉を求めて町歩きをしてみました。
 まずは徳川園からスタートしましょう。龍仙湖ではカモが羽を休め、園内は子福桜、樹々の紅葉、そしてソテツの菰巻と様々な初冬の風物詩、様々な自然の演出にほっこりできました。
 一歩園の外に出ると街路樹は色とりどりに輝き、足元では木の葉の絨毯がカサカサと奏でます。紅葉の名刹「禅隆寺」、烏が池で有名な「養念寺」まで足を延ばしてみました。

 徳川園は少し遅めの紅葉(黄葉)が見頃を迎え、湖面に映し出される真っ赤な紅葉とその脇を悠然と泳ぐ鯉、そしてカモの競演は人々の目を惹きつけています。そして山側では幽玄の世界が広がり穏やかな時が流れ、癒しの空間が広がり澄んだ水琴窟の音、瀧の水音が異次元の世界へと誘ってくれます。
 足元では、ツワブキ、寒椿、ドウダンツツジの紅葉も見られますし、龍仙湖畔では可憐な子福桜が来館者の目を捉え、諸々の説明に耳をそば立てながらも、しっかり撮影もするという微笑ましい光景が広がっていました。
 その横では冬の風物詩「ソテツの菰巻き」の作業が行われており、興味深そうにジーっと見入る人、シャッターチャンスを待つ人が取り巻き、それぞれのひとときを満喫されているようでした。

 街路樹は澄む空へ伸び、その葉の変化を愛でながら「禅隆寺」へ向かいます。丁度紅葉の見頃を迎えた境内は掃き清められ、静寂、重厚さを感じさせています。毎年お参りさせていただくのですが、何故か心洗われ背筋を伸ばされます。境内は薄紅葉、光り輝く紅葉と苔、そして本堂、山水菩薩庭園、開山堂の建物と一体化し正に“初冬の一コマ”を作り出しています。

 30日に寺院公開があると聞き、紅葉の「烏が池」の「養念寺(通常は非公開)」へ向かいました。ここは檀家、三浦氏の娘宣揚院(梅津)が7代藩主「宗春」の生母であるため、藩の保護を受けゆかりの品が多く残されています。
 庭園の池は、泥土が黒く、水の色も黒く見えたため「烏が池」と呼ばれています。これは「真宗の教え」を表現しているもので江戸時代には多くの文人、墨客が訪れたといわれています。現在の池は戦災で壊れ、当時の様式を保持し昭和56年に改修されたものです。
 早足で過ぎゆく季節を、穏やかな陽射しの中で眺めるのはいかがでしょうか。

   水面との競演    満開のコブク桜
秋らんまん・・(禅隆寺)     静かなたたずまい・・
禅隆寺開山堂と山水菩薩庭園 養念寺烏が池(二河白道庭園)
  養念寺庭園(鶴亀)   静かな時を刻んで