「あらたふと 青葉若葉の 日の光り(松尾芭蕉)」

 季節感の一つでもある四立の立夏を過ぎ、夏の気配を感じる一年で最も清々しい時季となりました。木々の間を渡る風に、深緑の鮮やかな芽生えと温もりのあるかぐわしさが感じられます。未だに規制された今の生活ですが、時には自然の移ろいを楽しんでみませんか。
 今年は季節の変化が早く、草木もゆっくり観賞する間もなくなる程の早さで流れていきます。一度立ち止まって、まさに万緑の徳川園を散策してみましよう。

 徳川園は四季折々の花々も楽しめる庭園ですが、今回は花々と静かに四季を演出している「特別緑地保全地区」を愛でつつ、花々とのコラボを楽しんでみたいと思います。
 矢田川の河岸段丘を生かした高低差のある地形、歳月を重ねた照葉樹の森、立体的に迫る大きな岩組に特徴があります。シイ(椎)を中心にモミジ、クスノキ、モッコクなど多種にわたり四季の表情を伝えています。つい花に目が移りがちですが、時には周囲の樹木にも焦点が当たると良いですね。丁寧に見てみましょう。

 先ずは木と花のコラボ・・。今、見頃なのが、虎仙橋脇のスダジイの木に巻き付き楚々と咲くテイカカズラです。テイカカズラが風車の様な(巴状にねじれている)白い可憐な花を巻き付け上へ上へと登っています。何故か気になる花です。花には独特な芳香があり、つられて見入ってしまう不思議な花だからでしょうか。名前の由来は諸説あるようですが、謡曲「定家」に由来しているとも言われています。

 そして、瀧と青モミジ。大曽根の瀧では三段組み瀧の泡の妙味をお楽しみいただけます。瀧を青モミジが彩り絶景の撮影ポイントを演出しています。記念撮影やベストショットの場所にもなっているようで、この辺りは標高20㍍の山の部分と標高10㍍の谷の部分の起伏ある樹林となっています。東区の名木「スダジイ」も堂々と聳えています。

 木曽川を模した川沿いは深山幽谷の雰囲気を楽しめる静寂の世界です。虎の尾の水辺に咲く「タニウツギ」や「サワフタギ」が水辺を飾ります。タニウツギ(谷空木)」は谷などに多く自生しているから、「サワフタギ(沢蓋木)」は、沢を塞ぐ様に生えているのが和名の由来のようですよ。なるほど納得ですね。

 龍仙湖では睡蓮が鯉との競演を楽しめますよ。かくれんぼ、鬼ごっこでもしているようなほのぼのとした風景です。黑門入口では珍しい「コウホネ」も黄色の可憐な花を付けています。是非見つけて下さいね。時には大きく深呼吸してマイナスイオンを取り込んで下さい。

  新緑と大曽根の瀧  スダジイとテイカカズラ
 水辺で咲くタニウツギ  川に覆い被さるサワフタギ
 深山幽谷の青モミジ    スイレンと鯉
 イチハツは里山で・・ 園外では含笑花、胞衣塚の東