【西川秋次邸見学】

 本年6月某日、西川秋次邸の見学会が行われました。「西川秋次邸が解体される?!」との報に接したことがきっかけで、折衝を重ね、お孫さんのご好意により実現しました。

 当日は西川邸の歴史や解体になった経緯、西川家に伝わる「炎のピアノ」の由来などのお話を丁寧に説明していただき、普段の秋次氏の人となりを知る大変貴重な時間となりました。
 今後の解体予定は判然としていないようですが、当時を偲ばせる門はそのまま残ると伺いホッとしました。貴重な建造物は、将来に残して欲しいと願うばかりです。

 西川秋次氏の人生は豊田佐吉翁との出合いから始まり、豊田家の繁栄を目指す生涯であったと思われます。佐吉翁を大将と呼び常にそばに寄り添い、佐吉翁からは絶対の信頼を得ていた方です。また、佐吉翁の兄弟(平吉・佐助)や、佐吉翁の子ども(喜一郎・愛子)の良き相談相手でもあったようです。発明王佐吉をひたすら支え、陰ひなたなく尽くす温厚な人柄が目に浮かびます。
 晩年は、佐吉翁の美挙にならい、自分自身の力で奨学会「財団法人西秋奨学会」を設立し、若者の育成にも貢献しています。佐吉翁から秋次氏へと以心伝心、静かに引継がれた善意の証しでもあるのでしょう。 

 お話しをいただいた後、邸内の見学をさせていただきましたが、往時を偲ばせる重厚な家具、多岐に亘る書物、そのほか数々の貴重品があり、佐吉翁ご夫妻の写真には、秋次氏が思いを寄せられた深さが感じられました。それらは、30余年の上海時代をも思いおこさせるに十分な品々でした。
 そして、最後に今なお健在の「炎のピアノ」での素晴らしい演奏があり、見学会の最後は懐かしい童謡の大合唱となりました。

 数多くの遺品の中に、秋次さんと共に旅をしたイニシャル入りの旅行鞄がありました。この鞄、幾つもの認可を経て佐助邸に置くことに決定、現在は「旧豊田佐助邸」2階洋館和室に展示されています。是非当時に思いを馳せ、秋次さんと一緒に世界の旅を楽しんでみてください。(西川秋次の生涯、当会資料参照)

    西川秋次邸門   佐助邸に展示された鞄
  若き日の佐吉ご夫妻     玄関でお出迎え
  100余年前のピアノ   素晴らしい音色と共に
     鬼瓦   モダンなアーチも・・