報告「文化のみち二葉館 ふたばの日」

 春立ちて まだ九日の 野山かな (松尾芭蕉)」

 去る2月8日(土)・9日(日)、文化のみち二葉館では恒例となる「ふたばの日」が開催されました。当日は立春を過ぎ「春近し」と思い始めた矢先の雪景色に、モダンな赤い屋根の二葉館の立ち姿を想像しワクワクして出かけました。そこには綿帽子を被ったような優しい姿がありました。例年「ふたばの日」は盛況で早朝から長蛇の列ができますが、今年も雪の舞うなか、大勢の方々が開館を待ち侘びており、その人気の高さを知りました。

 今年は開館20周年になりました。愛知万博開催の2005年、2月8日(語呂合わせでふたば)から「ふたばの日」とし、開館記念日として毎年開催され、恒例行事になりました。今年は2日連続で興味ある“貞奴づくし”のイベントが用意されていました。

 日本の女優第一号と言われた貞奴の衣装など貴重な品々の展示には、来館された方々は感嘆の声をあげておられました。丁寧に一点一点見ては、当時の至高に驚かれる方や舞台衣装からは当時に思いをめぐらせておられるようでした。

 大広間でのイベントは大盛り上がりで、獅子舞の披露には拍手喝采、獅子に頭を噛まれると無病息災に過ごせるとの言い伝えもあり、みなさんきっと今年は良い年になることでしょう。続いて20周年を祝い「瑞祥歌のにぎわい」が披露されました。日本情緒漂う三味線の音が心に響きます。合わせて厳かに舞う踊りには目を奪われ、階段までびっしりの皆さん、シーンと静まり返った会場は一体となり日本の伝統芸能に酔いしれているようでした。素晴らしい安らぎの空間がそこにありました。

 「オペラ貞奴」は貞奴と桃介の木曽川水力発電のドラマを煌々と歌います。素晴らしい演技と歌声に圧倒されますが、桃介、貞奴のお二人の当時の意気込みはひしひしと伝わってきました。目は釘付けとなり聴き惚れるみなさんのお顔は明るく輝いていました。ソプラノ、バリトンの歌にピアノ、エレクトーンが一体となって、二葉館全体が広い音楽会場に変わっていました。当時の面影、快挙への思いを蘇らせてくれたのではないでしょうか。

 「十二人の貞奴」の一人語りは、波瀾万丈の貞奴の人生を切々と寄り添いながら静かにそして朗々と演じられました。会場全体がその語りに引き込まれ、また全体に至高を凝らした演出に微動だにしない会場となっていました。“あっと驚く演出”、螺旋階段から語りかける貞奴さんはそこにいるかようでした。始まる前に、お客さんから「貞さんはこの階段を使いましたか」と質問があり、「はい」と答えると、懐かしそうに手すりを何度もさすっている方もおられました。また、あまりにも気合が入ってか、1日早く来た方もみえました。「明日もいらしてね」と声をかけると、「岐阜からだ」とおしゃっていましたが、楽しんでいただけたでしょうか。二日間が貞奴一色の素晴らしい企画に来場された方々の優しい笑顔が素敵でした。

 2月19日(水)からは貞奴の愛した雛人形やお琴の展示も行われます。お楽しみに!

開館20周年
早朝から長蛇の列が・・
貴重な展示品
日本伝統の舞
貞さんの一代記
煌々と歌いあげて・・
優しく語りかけて
ガイドの様子

この記事が気に入ったら
いいねしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次