「東区文化のみちガイドボランティアの会」が名古屋市東区「文化のみち」の魅力を紹介します
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文化のみち界隈 Ⅰ 「橦木館」

 「近代産業の発祥地」と言われる東区、明治維新後に織物、マッチ、時計など様々な産業がこの地で育ち発展してきました。特に東区で盛んになった「陶磁器の絵付け」は、瀬戸から取り寄せた白生地の製品に絵を付ける事業で、当初は鍋屋町界隈が中心でしたが、次第に橦木町、白壁町が主な地域となっていきました。昭和初期の最盛期には、事業所は650軒、従事者数は1万4千人となる一大産業へと発展していきました。
 陶磁器貿易商として名声を馳せた「井元為三郎」「春田鉄次郎」の邸宅は、現在でもその存在をしっかりと残しています。徳川町にある陶磁器会館は、かつての陶磁器事業の隆盛を今に残す貴重な建物です。そんな歴史を振り返り、現在への変遷を見てみたいと思います。

 この地域は江戸時代の武家屋敷があったところで、明治維新後は産業の拠点として栄え、今は「町並み保存地区」として、昔を物語る建造物が保存されています。その中の一つに陶磁器貿易商として活躍した「旧井元為三郎邸」が橦木町にあります。
 今回は、大正末期から昭和初期に建てられた邸宅「橦木館」を訪ねてみました。瀟洒な洋館と歴史の趣を感じる和館、重厚な土蔵、手入れの行き届いた庭園、それらが一体となった屋敷がそこにありました。
 洋館はステンドグラスが一際目を引き、部屋の荘厳さを引き立てています。当時の井元氏を偲びながら、その歴史や文化に触れてみては如何でしょうか。

 訪れた日は、和室・土蔵で「山きらめきのPhoto展(17日まで開催)」が開催されていました。多くの樹木が調和よく繁る庭、和室のもつ独特の温かさの中、じっくり座って観賞される方も多く、なんだかその気持ちが分かるような気がしました。通常は入ることない土蔵も見られ、大いに満足しました。
 台所などには昔のままの物品が残されていて、現在への変遷が垣間見られ種々想像するのに十分な空間がそこにはありました。
橦木館の詳細はこちらからどうぞ 
 時にはゆったり、まったり時を過ごしてみるのは如何でしょうか。

☆11月3日(金)歩こう文化のみちでは、佐助邸において「語りつごう!!東区ゆかりの近代産業」の展示を行います。お待ちしております。

  庭から和館を・・  静けさの中に(中庭)
  各所にマッチして・・   当時が蘇る!?
  上絵付けされたもの   陶磁器産業の歴史
      印半纏   今も大正がここに・・

新美南吉の世界を訪ねて

 8月23日は処暑、また「綿柎開(わたのはなしべひらく)注1」とも言うそうです。その昔の、子供の頃の田園風景に、白い綿の実を見たような気がしますが、現在はまず見当たりません。

 何気なく通りかかった文化のみち二葉館で、予てより噂を聞き楽しみにしていた「児童文学リバイバル展 新美南吉の世界をたずねて」を見つけ見学してきました。もとより大好きな作家「新美南吉」、彼の世界を更に深く知りたいと想い、勇んで会場に入りました。
 「南吉」というと「ごんぎつね」「でんでん虫の悲しみ」「手袋を買いに」などの童話と共に、知多半島にある矢勝川の彼岸花が頭をかすめました。

 その作品は教科書にも取り上げられていますし、童話だけでも123編ほどあるそうです。子供から大人まで誰もが楽しめ、その多くはふるさとを題材にしていて、身近にいる動物を登場させ、方言なども取り入れているのが長く愛される理由でしょうか。これからも、親から子へ、子から孫へと語り継がれていくことでしょう。
 今まで名古屋には関係はない作家と思っていましたが、就職のお世話をした先生や、教え子が中部児童文学で活躍するなど、意外にも名古屋との関わりのあることを知りました。急に彼の存在がグッと近づいてきたようで、嬉しくなりました。

 丁度、“夏休み!子どもの「ステンド硝子アート教室」”も開催されており、残り少なくなった夏休みの課題解決の一助に、貴重な体験の場として楽しんでいるようでした。
 夏休みも残り少なくなってきましたが、去る19日に開催されたワークショップでは、「たからのこびん」作りが行われていました。ちょっとだけ覗くつもりが、それぞれの方の個性豊かな作品に接し、「たからのこびん」作りに熱中する姿に感動し、引き込まれて時の経つのも忘れ見続けていました。付き添ってみえた親御さんも、その経過に満足された様子で、見守りながら一緒に楽しまれているようでした。

 時には童心に返って、昔懐かしい絵本を手に取ってみるのは如何でしょう?心癒される時間が取り戻せるかも知れませんよ。
南吉展についての詳細はこちらからどうぞ
 注1:綿を包むガクが開き始める頃。綿の実がはじけ白いふわふわが顔をのぞかせた様子。

 

      写真提供:二葉館    半田市観光HPより(矢勝川)
   ”たからのこびん”制作中     まどにかざるときれいだよ!

石造物を訪ねて

 「つくつく法師 いつもどこでも 遠き声」と詠われるようにツクツクホウシの鳴き声がかすかに聞こえるようになってきました。
 ずっと気になっていた、舎人公園の東にある谷汲山観音院室寺(泉3)の石仏を訪ねてみました。最初に目に付くのが門前にある石塔「谷汲山」ですが、普通の寺標とは異なり特徴のある形をしています。慶応2年(1866)の文字が読み取れ、随分古いものであることが分かります。前回ご紹介した、百度石も元和2年(1616)でしたので、かなり歴史のあるお寺なのでしょう。

 現在の観音院室寺(泉3)境内は、今でこそかなり小さくなっていますが、戦前までは、かなり広く、隣にある舎人公園も寺域であったとのお話でした。
 浄土宗のお寺で本尊は十一面観世音菩薩立像で、境内には江戸時代後期の西国三十三観音信仰(注1)の石仏が整然と並び、静かに見守ってくれているようです。三十三とは観音様が三十三の姿に身を変えることからきているのだそうです。

 信仰の始まりは平安時代の中頃からで、江戸時代に庶民信仰として盛んになったとのことです。本来は西国の各寺を巡礼するのですが、やむを得ない理由で現地に足を運べない人のために、簡易的に一箇所に札所や石仏を並べ参拝する風習になったと言われています。観音院室寺も三十三箇所を模した石仏が並んで最後の33番を見ると「谷汲山」になっています。
 ☆当会では、皆様のご要望に合わせて依頼ガイドを行っております。詳細はガイドからお進みください。

     谷汲山の石塔    名陽図会
  後列左から一番・・・ 左が33番谷汲山の文字

 

注1:本来は、一番札所は那智青岸渡寺から始まり、三十三番札所は岐阜谷汲山華厳寺で満願となる。

文化のみちのステンドグラスを訪ねて

 梅雨明けの青空の下、文化のみち二葉館主催の「文化のみち、ステンドグラス建築探訪ツアー」に参加してきました。
 コースは、二葉館→名古屋陶磁器会館→橦木館→主税町記念堂(元,カトリック主税町教会)→市政資料館でした。そこに住む人の思い、時代背景など特徴を巧みに取り入れられ、感嘆や驚きの声がしばしば聞かれる、とても存在感のあるものでした。東区は貴重な遺産の宝庫と言われており、その一旦を垣間見る思いで、将に興味津々、新たな発見やいくつかの課題も見つかる貴重なものでした。時には大正ロマン漂う建造物や、味わい深いステンドグラスとゆっくり向き合ってみませんか?

先ずは二葉館大広間のステンドグラス。長い旅から戻った「初夏」の一部(向かって右下部分、注1)が、本来の場所に収まった優雅さと重厚さが、大正浪漫を漂わせています。貞奴さんも安堵されているのではないか・・フッとそんな気がしました。館内には、踊り子、アルプス、もみじ(注2)など幾つかの素晴らしいステンドグラスがあり、これらは名古屋に残る物としてはかなり古いと思われるようです。陽ざしや室内の照明による変化を楽しむのも一興ではないでしょうか。

 名古屋陶磁器会館は、当時のままのステンドグラスが静かに来館者を迎え、館内には歴史を刻む品々が陳列され、陶磁器の歴史を紐解くことができます。陶磁器産業発展のために、大いに貢献した井元為三郎氏の功績も偲ぶことができます。
 井元為三郎邸の橦木館では、ドイツ、オーストリアに興ったデザインとアール・デコを彷彿させるデザインがさりげなく使われ、玄関には八星の玄関灯、幸福の青い鳥など当時の流行を取り入れた作品が目に付きました。

 名古屋市市政資料館(旧名古屋控訴院地方裁判所)は、ネオバロック様式で、当時の建物では札幌と名古屋だけにしか残っていないようです。ステンドグラスは大階段にあり、北壁には公平さを表す天秤、天井には日輪、お天道様がデザインされ、建物との調和は一層の重厚さが感じられました。
 一つひとつを丹念に観察されるもよし、建物との融合性や荘厳さを肌で感じられるもよし、それぞれの感性でお楽しみくださいね。(宇野辰雄の世界、当会資料参照)
注1:詳細はこちらからご覧ください
注2:「竜田川」というもみじの葉が水辺に落ちるという日本の伝統的モチーフ

   二葉館「初夏」      アルプス
     踊り子       もみじ
   橦木館「青い鳥}      欄間
    陶磁器会館玄関    市政資料館「天秤」

徳川園のこのごろ

 7月7日は七夕です。「笹の節句」「星祭り」との別名もあり、江戸時代に五節供(注1)の一つに定められた季節の節目のことです。七夕の星物語は織姫・彦星で有名ですが、ルーツを辿ると中国で二人の逢瀬を祝い「乞巧奠(きっこうでん)」という行事が催されたのが始まりのようです。遣唐使によって日本に伝わり宮中行事に取り入れられ、江戸時代に民間行事として広がったものだそうです。この五節供の全てが奇数日(3月3日、5月5日・・)の邪気を祓うために植物が深く関わっていることに気づきました。7月7日(旧暦)の夕方で、七夕!ちょっと興味に誘われて園内を散策してみました。
「合歓木の 葉ごしもいとへ 星のかげ 松尾芭蕉」

 今、園内には来園者が書かれた七夕飾りが、風に吹かれてサラサラとゆれています。昔・むかし、子供の頃、短冊に願いを込めて書いたこと・・夏の縁台が目に浮かびます。

 龍門橋の脇では、平安時代の柚ノ木灯籠(写し)とスイレンがお出迎え、その先ではモッコクが可愛い白い花を咲かせています。虎仙橋を渡る風と緑陰が梅雨の鬱陶しさを吹き飛ばしてくれます。笹ユリも大きく蕾を膨らませ、梅雨明けを待っているようですし、菖蒲田の脇では、蓮の花が咲いていますよ。見つけて下さいね。

 龍仙湖では水カンナや半夏生、ヤブカンゾウが目を楽しませてくれます。今年孵ったマガモの雛(3羽)も大きく成長し親ガモと見間違えそうですが、さすが母鳥、時々、子に優しく寄り添っていました。鯉の餌をちゃっかり横取りしたり、お茶目に鯉の背中に乗りサーフィン!・・愛嬌を振りまく姿に、周辺は大きな笑い声が広がっていました。
 里山のゾーンでは、ハクウンボク、マユミなどが青い実を付け、花とは違う風情を醸し出していますし、苔と石のコラボそしてせせらぎは、暫くの間、喧騒の世界を忘れさせてくれます。
 いつもは脇役の石垣を覆うヒトツバや蔓性植物なども園内演出に一役買っています。時にはマイナスイオンを感じながら歩を進めるのも良いかも知れませんよ。楽しみ方は、「みんな違ってみんないい」ですね。
 徳川園では15、16日(土・日)には宵祭りが開催されます。詳しくはこちらからどうぞ。

  柚ノ木灯籠とスイレン   風にたなびく七夕飾り
    水カンナ     ハンゲショウ
  鯉とマガモの親子   静かな時を刻んで
    ハクウンボク    陽に光るマユミ

 注1:七草、雛まつり、こどもの日、七夕、菊祭りをいう

 

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開館日とガイド実施時間

◆旧豊田佐助邸
月曜日休館(祭日が月曜日なら翌日)
開館時間: 10:00~15:30
ガイド常駐日:火、木、土
◆文化のみち二葉館
月曜日休館(祭日が月曜日なら翌日)
開館時間: 10:00~17:00
定時ガイド: 火、木、土
10:45、13:20の2回
30~40分
◆徳川園
月曜日休園
開園時間: 9:30~17:30
定時ガイド: 金曜日
13:00~15:30

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