旧春田鉄次郎邸

 「いそがしく 時計の動く 師走かな(正岡子規)」

 12月13日は「正月事始め」の日といわれ、年神様を祀るためのすす払いや正月の用意に取りかかるのでこのように言われるのだそうです。師走の声を聞くと気だけ焦りますが、先日、太宰府天満宮のすす払いの様子が放映され、「ああ!今なんだ」と気づかされました。

 現在、佐助邸は塀の修復工事のため閉館中です。西隣の「旧春田鉄次郎邸」は開館(和館のみ)しており、1階で受付をしております。春日灯籠を右手にお進みください(洋館は見学不可です)。3密を避けるためガイドは出来ませんが、大正時代の生活を彷彿とさせる数々の品をゆっくり堪能していただけると思います。

 春田鉄次郎邸は大正13年に建築された和洋折衷の建物で、これは「住宅都市景観重要建造物」に指定されています。
 春田氏は名古屋の陶磁器貿易の発展にも尽くされましたが、建築にも大変造詣が深く、各所にこだわりを持った意匠が見受けられます。
 家族の居間として使用されていた1階和室には、懐かしい足踏みミシンや、ちゃぶ台、テレビ等が展示してあり、一昔前の世界へと誘ってくれます。食堂には「両面ハッチの食器棚」や立派な「丸テーブル」、ご飯を保温するのに使用された「飯詰籠(いづめこ)」などが展示され当時の生活を偲ぶことが出来ます。また、碍子(がいし)の配電盤にはちょっとびっくりするかもしれませんよ。

 2階廊下の「落としカギ」は見過ごしてしまいそうですが、気を付けて見つけてください。2階洋間の天井の造りは、漆喰の面白いデザインが施されており、ちょっとヨーロッパを思いおこさせてくれます。また可愛い小鳥の置物や照明器具も並べられています。
 和室の欄間は朽ち木で趣のある設えですし、付け書院はカエデの一枚板で造られた琵琶床、違い棚のある正式な床の間となっています。

 1階の洋館にはヨーロッパ産「大理石の暖炉」、天井や床にもヨーロッパの宮殿を模したものも設えられていますが、現在洋館1階部分はレストランが使用しているため見学は出来ません。(和館1階邸内パネルでご確認ください) 昼食は出来ますので予約してお出かけになる事をお薦めします。忙中の閑、時には静かなひとときをお過ごしになってください。

    春日灯籠を右へ   旧春田鉄次郎邸門
  丸テーブルと展示品     碍子の配電盤
    照明器具   かわいい小鳥の置物
   佐助邸は閉館中   町の花(皇帝ダリア)

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