「東区文化のみちガイドボランティアの会」が名古屋市東区「文化のみち」の魅力を紹介します
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花情報

新美南吉の世界を訪ねて

 8月23日は処暑、また「綿柎開(わたのはなしべひらく)注1」とも言うそうです。その昔の、子供の頃の田園風景に、白い綿の実を見たような気がしますが、現在はまず見当たりません。

 何気なく通りかかった文化のみち二葉館で、予てより噂を聞き楽しみにしていた「児童文学リバイバル展 新美南吉の世界をたずねて」を見つけ見学してきました。もとより大好きな作家「新美南吉」、彼の世界を更に深く知りたいと想い、勇んで会場に入りました。
 「南吉」というと「ごんぎつね」「でんでん虫の悲しみ」「手袋を買いに」などの童話と共に、知多半島にある矢勝川の彼岸花が頭をかすめました。

 その作品は教科書にも取り上げられていますし、童話だけでも123編ほどあるそうです。子供から大人まで誰もが楽しめ、その多くはふるさとを題材にしていて、身近にいる動物を登場させ、方言なども取り入れているのが長く愛される理由でしょうか。これからも、親から子へ、子から孫へと語り継がれていくことでしょう。
 今まで名古屋には関係はない作家と思っていましたが、就職のお世話をした先生や、教え子が中部児童文学で活躍するなど、意外にも名古屋との関わりのあることを知りました。急に彼の存在がグッと近づいてきたようで、嬉しくなりました。

 丁度、“夏休み!子どもの「ステンド硝子アート教室」”も開催されており、残り少なくなった夏休みの課題解決の一助に、貴重な体験の場として楽しんでいるようでした。
 夏休みも残り少なくなってきましたが、去る19日に開催されたワークショップでは、「たからのこびん」作りが行われていました。ちょっとだけ覗くつもりが、それぞれの方の個性豊かな作品に接し、「たからのこびん」作りに熱中する姿に感動し、引き込まれて時の経つのも忘れ見続けていました。付き添ってみえた親御さんも、その経過に満足された様子で、見守りながら一緒に楽しまれているようでした。

 時には童心に返って、昔懐かしい絵本を手に取ってみるのは如何でしょう?心癒される時間が取り戻せるかも知れませんよ。
南吉展についての詳細はこちらからどうぞ
 注1:綿を包むガクが開き始める頃。綿の実がはじけ白いふわふわが顔をのぞかせた様子。

 

      写真提供:二葉館    半田市観光HPより(矢勝川)
   ”たからのこびん”制作中     まどにかざるときれいだよ!

百度石を訪ねて

 立秋も過ぎ「立秋の 雨はや一過 朝鏡(中村汀女)」と詠われているように、風の流れや日の光、雲の動きに微妙な変化が見られる・・のは、秋を待ち焦がれる願望のせいでしょうか。もちろん8月のイメージは、蝉時雨や厳しい暑さ、お盆を前に毎年報道される「戦後○○年」ではないでしょうか。そんなことを考えながら訪ねた神社で百度石(注1)を見つけ、“その昔どんな思いで人々はこの石に願いをかけたのだろう?”と頭をよぎりました。

 最初に立ち寄った神社で、いきなりその形の違いに気づきました。まだ他にも色々あるのだろうかと疑問が湧き、東区内の社寺を丹念に巡って見ようと思いました。すると新たな出会いや発見があり、楽しみ方も意外に多岐に亘り、どんどんと広がることに気づきました。それぞれの社寺の歴史や謂われと共に、石造物をたどって見るのも楽しいのではないでしょうか。

 百度石をじっくりと見ると、円柱や四角柱など様々な形があることが分かりました。四角柱頭部は平らであったり、先が尖っていたり微妙な変化をしています。そして彫られた文字も様々で、丁度境内におられたお庫裏様や宮司様にお尋ねしましたが、特に形や字を指定したという記憶は無いそうです。“みんな違って みんないい”ですかね。

 全国的にみると、数を数える為に上部に数え玉、算盤玉が付いているものや、お寺さんのご本尊様との関わりで様々なタイプがあり、地域の習わしなども反映されていることもあるようです。今回は東区内の限られた範囲でしたが、少し範囲を広げるとまた新しい発見があるかも知れませんね。

 百度石建立が元和2年と思われる古い観音院(泉3)、明治の片山神社(芳野町2)、含笑寺(東桜3)、大正の松山神社(泉3)、東充寺(東桜2)、片山八幡神社(徳川2)等々を歩きました。須佐之男神社(出来町3)では普通60〜80㎝といわれる高さが、125㎝もあり、幅も21㎝で区内随一だと教えていただきました。円柱形の冨士神社(東桜1)など特徴があることを知りましたが、全ての社寺に設けられるわけではなく、存在しないところも幾つかありました。この寺院めぐりの道すがら、街路樹の木陰で一息入れつつ、目に入る花々は一服の清涼剤になってくれました。
☆当会では皆様のご要望に添ったガイドを行っております。お申し込みは「ガイド」からお進みください。

注1:広辞苑では、頼み事を叶えてもらうため、社寺に参りその境内の一定距離を100回往復し、その度に拝することとあります。古くから日本の民間信仰であり、文献的初出は吾妻鏡の記述から、鎌倉時代初期にはお参りがあったようです。石は火災や災害にも強く歴史の生き証人になってくれることも多いようです。

 観音院室寺(風化も散見)    冨士神社(円柱形)
 含笑寺(篆書体・てんしょたい    神明社(隷書体)
  七尾天神(頭部は丸み)     須佐之男神社
    路地に彩り     モミジアオイ

徳川園のこのごろ

 7月7日は七夕です。「笹の節句」「星祭り」との別名もあり、江戸時代に五節供(注1)の一つに定められた季節の節目のことです。七夕の星物語は織姫・彦星で有名ですが、ルーツを辿ると中国で二人の逢瀬を祝い「乞巧奠(きっこうでん)」という行事が催されたのが始まりのようです。遣唐使によって日本に伝わり宮中行事に取り入れられ、江戸時代に民間行事として広がったものだそうです。この五節供の全てが奇数日(3月3日、5月5日・・)の邪気を祓うために植物が深く関わっていることに気づきました。7月7日(旧暦)の夕方で、七夕!ちょっと興味に誘われて園内を散策してみました。
「合歓木の 葉ごしもいとへ 星のかげ 松尾芭蕉」

 今、園内には来園者が書かれた七夕飾りが、風に吹かれてサラサラとゆれています。昔・むかし、子供の頃、短冊に願いを込めて書いたこと・・夏の縁台が目に浮かびます。

 龍門橋の脇では、平安時代の柚ノ木灯籠(写し)とスイレンがお出迎え、その先ではモッコクが可愛い白い花を咲かせています。虎仙橋を渡る風と緑陰が梅雨の鬱陶しさを吹き飛ばしてくれます。笹ユリも大きく蕾を膨らませ、梅雨明けを待っているようですし、菖蒲田の脇では、蓮の花が咲いていますよ。見つけて下さいね。

 龍仙湖では水カンナや半夏生、ヤブカンゾウが目を楽しませてくれます。今年孵ったマガモの雛(3羽)も大きく成長し親ガモと見間違えそうですが、さすが母鳥、時々、子に優しく寄り添っていました。鯉の餌をちゃっかり横取りしたり、お茶目に鯉の背中に乗りサーフィン!・・愛嬌を振りまく姿に、周辺は大きな笑い声が広がっていました。
 里山のゾーンでは、ハクウンボク、マユミなどが青い実を付け、花とは違う風情を醸し出していますし、苔と石のコラボそしてせせらぎは、暫くの間、喧騒の世界を忘れさせてくれます。
 いつもは脇役の石垣を覆うヒトツバや蔓性植物なども園内演出に一役買っています。時にはマイナスイオンを感じながら歩を進めるのも良いかも知れませんよ。楽しみ方は、「みんな違ってみんないい」ですね。
 徳川園では15、16日(土・日)には宵祭りが開催されます。詳しくはこちらからどうぞ。

  柚ノ木灯籠とスイレン   風にたなびく七夕飾り
    水カンナ     ハンゲショウ
  鯉とマガモの親子   静かな時を刻んで
    ハクウンボク    陽に光るマユミ

 注1:七草、雛まつり、こどもの日、七夕、菊祭りをいう

 

鈴木政吉と安斎院

 当会では、来館された方々に寄り添えるガイドを心掛けていますが、その他に「ガイボラ文会」と称して、各人が地道に調べ探求した結果を発表しながら、お互いに学び合う場を定期的に設けています。
 東区が生んだ偉人の一人に「人生をヴァイオリンにかけた創造者」である鈴木政吉がいます。今回は鈴木政吉がヴァイオリンの製作の過程で出会い、糸を紡いでいく中で知った、当会と関係あるお寺と場所にスポットを当ててみたいと思います。

 6月文会は『「ヴァイオリンの音色に魅せられて」受け継がれた鈴木政吉の志』のお話で、幾つもの驚きと感動に圧倒されました。特に興味を覚えたのは、鎮一がドイツ留学の折りに、徳川義親氏との出会いがあったからという場面です。そして大好きなアインシュタインと政吉、鎮一との間に親交があり、更に鎮一が留学中、アインシュタインと一緒に演奏したことは驚愕でした。 

 「えっ?!あの徳川園(旧尾張徳川大曽根邸)を名古屋市に寄贈された義親様との繋がりにまたまたびっくりでした。そして東寺町に「曹洞宗 安斎院」がありますが、その総門を明治41年に政吉が寄付(注1)されていることも然りです。偉大だったと誰しもが認める方がぐっと身近に迫ってきました。この思いがけない糸を手繰ってみたくなり、安斎院から徳川園への散策に出かけてみました。

 安斎院も、ゆとりを持って心静かに向き合ってみると、境内(門外から観賞)も静寂の中で静かに時は流れており、真っ青な空にゆったり流れる白い雲、掃き清められた境内ではヴァイオリンの音色が流れているかのように感じたのは私だけでしょうか。

 総門は重厚さで存在感もあり、そこに施されている鳳凰の彫刻は今にも羽ばたいていきそうです。塀には、ちょこんと二人の僧が優しく見つめています。これは中国唐代中期の高僧「寒山、拾得(かんざん、じっとく)」だそうです。様々な説もあるようですが、これに豊干(ぶかん)を加えた四睡図(注2)は禅の境地を示すもので、お釈迦様と文殊菩薩・普賢菩薩とも言われているそうです。森鴎外の著した「寒山拾得」を読まれてみるのも面白いかも知れません。この四睡図に関連づけて徳川園の里山にも「四睡庵」があり、穏やかな空間を演出しています。そして、この四睡図の図柄が日光東照宮にも彫刻されているとのこと・・ご存知でしたか?
 次から次へと、夢の広がっていくこんなルートの散策は如何でしょうか。

     安斎院門      鳳凰彫刻
    寒山拾得     塀と緑陰
   水琴窟と四睡庵     文会の様子
  松山公園の花     アメリカデイゴ

注1:木札(棟札)が現存している 
注2:画題の一つで、中国唐代の三人の僧と一匹の虎が寄り添って眠っているところを表している  

徳川園のこのごろ

「目には青葉 山ほととぎす 初がつお(山口素堂)」と詠われるように、園内は今、「青モミジ(注1)」、スダジイ等の青葉、若葉で溢れています。つい先日まで、日向を求めて集ったのが嘘のように、強い陽射しを避けて木陰を求めるこの頃です。

 華やかさはないのですが、テイカカズラやマユミ・センダン・スダジイが可愛い花を付け、初春の鮮やかな彩りとは趣を変えた、優しい香りが道案内をしてくれています。

 大曽根の瀧の水音や川のせせらぎが、心を和ます空間を作り出し、マイナスイオンも製造しているのでしょう。この辺りを散策する人が目立って増加して見えるのは気のせいでしょうか・・。肌寒さから解放され、気も心も解きほぐされて会話も弾んでいるようです。

 龍仙湖では、餌を目当てに人声や足音に敏感に反応して集まる鯉や鳥の軍団に圧倒されますが、一方ではこの集団に餌を分け合ったり、買いに走る人がいたり、賑やかな笑い声に誘われて、この周辺にはいつの間にか大きな輪が出来ています。折から吹くそよ風、鯉の餌をめがけて集まるカモや鳩、小鳥が思いもかけない波紋を作り出しています。そんな景色を楽しんでみるのもいいかも知れませんよ。カメラにスケッチとこの刹那を記録されるのも楽しい記録、記憶になると思います。

 新緑の枝を優雅にゆらすロッカクヤナギ・西湖堤も一役買って瑞龍亭からの眺めは圧巻です。清々しいこの環境、時には立ち止まって五感で楽しみ、ゆったりと静かに身を委ねてみてはいかがでしょう。新たな発見があるかも?!し・れ・ま・せ・ん。

   せせらぎに誘われ    豪快な水音が・・
   幽玄の世界へと・・    青モミジと語らい
  自然の描き出す絵画?!   穏やかな陽射しに・・
  可憐なテイカカズラ   さざれ石と花の競演

注1:京都の観光地で「モミジの若葉」をこう呼び始めた事から・・とか。

 

 

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開館日とガイド実施時間

◆旧豊田佐助邸
月曜日休館(祭日が月曜日なら翌日)
開館時間: 10:00~15:30
ガイド常駐日:火、木、土
◆文化のみち二葉館
月曜日休館(祭日が月曜日なら翌日)
開館時間: 10:00~17:00
定時ガイド: 火、木、土
10:45、13:20の2回
30~40分
◆徳川園
月曜日休園
開園時間: 9:30~17:30
定時ガイド: 金曜日
13:00~15:30

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